小川糸『ライオンのおやつ』読書感想文|高校生向け800字例文2つと書き方

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小川糸さんの『ライオンのおやつ』は、余命を告げられた主人公が、瀬戸内の島にあるホスピスで最後の日々を過ごす物語です。

死を扱っているものの、物語の中心にあるのは「残された時間をどう生きるか」という問い。
家族との関係や思い出のおやつなど、自分の経験と重ねやすい題材が多く、読書感想文にも向いています。

ジューイ
ジューイ

この記事では、私・ジューイとゆーじさんが書いた約800字の読書感想文を紹介します。

同じ作品を読んでも、私が注目したのは「おやつがつなぐ記憶」、ゆーじさんが考えたのは「自分が余命を告げられたらどう生きるか」でした。

2つの感想文を比べながら、高校生が自分の感想文を書くときのポイントや構成も見ていきましょう。

この記事には物語の結末に関するネタバレが含まれています。

『ライオンのおやつ』の簡単なあらすじ

主人公の海野雫は、33歳という若さで余命を告げられ、瀬戸内の島にあるホスピス「ライオンの家」で残された時間を過ごすことを決めます。

ライオンの家では、毎週日曜日に「おやつの時間」が開かれます。

入居者が人生でもう一度食べたいおやつと、それにまつわる思い出を書いて箱へ入れ、選ばれた一品をみんなで味わう特別な時間。

雫はほかの入居者たちと交流し、それぞれのおやつに込められた人生に触れながら、死を恐れるだけでなく、今を生きることと向き合っていきます。

『ライオンのおやつ』の読書感想文【800字例文】

ここでは、『ライオンのおやつ』を読んだ私とゆーじさんの読書感想文を紹介します。

同じ作品を題材にしていますが、注目している部分も、読後にたどり着いた考えも異なります。

読書感想文に決まった正解はありません。
例文をそのまま使うのではなく、「自分はどの場面が気になったか」「なぜそう感じたのか」を考えるための参考にしてください。

ジューイ
ジューイ

まずは、私の読書感想文です。私は、作中に登場する「おやつ」がどのような役割を果たしているのかを中心に考えました。

ジューイの読書感想文|「おやつ」がつなぐ記憶と生

タイトル: 「おやつ」がつなぐ記憶と生

『ライオンのおやつ』を読んで、まず浮かんだのは「おやつ」という存在の多層性だった。
作中で描かれるおやつは、単なる食べ物ではない。それは登場人物それぞれの記憶を呼び起こし、その人の人生を象徴する鍵のように機能している。
香りや味が過去と現在をつなぎ、死に向かう時間の中で“生きてきた証”をそっと浮かび上がらせていた。

雫が最後に選んだおやつは、父との記憶と強く結びついている。
それは彼女の生き方や心の変化を凝縮した象徴であり、人生を受け入れ、感謝とともに旅立とうとする意志の表れだった。

また、「ライオンの家」という舞台そのものも象徴的だ。ライオンは動物の王であり、死に臆せず堂々と生きる存在。
その名を冠した家は、命の最終章を誇りと温かさの中で過ごす場所として描かれているように見える。

この物語は、死を恐怖や悲劇としてだけ描くことを避けている。
むしろ、人が本来持つ「生きる力」を引き出す契機として死を捉えている。
雫や仲間たちが交わす何気ない会話や笑顔は、読む者に「自分は今をどう生きたいのか」という問いを静かに投げかけてくる。
構成面では、「おやつの時間」を軸に物語を進める手法が巧みだと感じた。
毎週訪れるその時間が、読者にとっても小さな呼吸のように感じられ、終盤の雫の選択に向けて緊張と期待を少しずつ高めていく。

読み終えた後に残ったのは、派手な感動ではなく、静かな余韻と、日々の小さな出来事への感謝だった。
それは、ほんのり甘く温かいおやつを食べ終えた後に残る、口の中のやさしい味わいに似ている。
そして、この感覚こそが、作者が描きたかった「生き切る」ということの輪郭なのかもしれない。
読後、無意識に窓の外を眺め、今日の空や風の匂いを確かめたくなった。生きている今その瞬間を味わうことが、何よりも豊かなことだと、改めて思わされた。
そして、その気づきは、日常を少しだけ優しく彩ってくれる小さな灯のように胸に残った。

(文字数:800字)

私の感想文では、「おやつ」を人生の記憶や生きてきた証の象徴として捉えました。

作品の中心となるものを一つ選び、その役割や意味を掘り下げるのも、読書感想文の切り口になります。

ゆーじ
ゆーじ

続いては私ゆーじの読書感想文です。私は雫の生き方を自分に置き換え、感謝を伝えることの難しさについて考えました。

ゆーじさんの読書感想文|最期は「ライオンのおやつ」とともに

タイトル:最期は「ライオンのおやつ」とともに

余命を宣告された時、私も雫のように生き終えることが出来るだろうか。
読後、そんなことを考えた。
『死』というセンシティブなものがテーマであるにも関わらず、読み進めていくうちに生きてく強さを感じる。
こんな風に最期を迎えられたら「いい人生だった」と思えるのかなと、一つの正解を提示された気持ちがして勉強になった。

「ライオンの家」には命の期限を知った人たちが入居するホスピス。
登場人物はみな個性豊かで、「死」が身近にあることを感じさせないくらい今を味わっているのが印象的だった。
それは入居者だけでなく「ライオンの家」で働くマドンナやタヒチ、カモメちゃんなどからも感じる。
雫が百ちゃんの出会いで「死を受け入れることが、生きたい気持ちを認めることである」と気づいたシーンがあったが、登場人物たちは「死」を受け入れることで「生」が輝くのを知っているから、物語から力強さが伝わってくるのかもしれない。

生きてるうちに感謝を伝えることは大切だ。
けれども、それはなかなか出来ないのが現実だ。
頭では理解しているけれど、心がついて来ない。今からお世話になった人たちに感謝を伝えようとしても何かが違う気がする。
恥ずかしさもあるけれど、それ以上に本気の感謝じゃない感覚がどこかにある。
この物語に対しても感じた客観性が抜けない限り、今の私にとって「死」は遠い存在なのかもしれない。

いつ死ぬか分からない中で生きている間、私は感謝を伝える準備が出来ない。
そんな自分を良くないと思ってしまうけれど、代わりに余命がわかったらお世話になった人たちに感謝を伝えようという覚悟もできた気がする。
ろうそくの火がどれだけ減っているのかわからないし、もしかしたら明日不意に消えるかもしれない。
それでも、もし余命を宣告される日が来るのなら、「おやつ」を通して雫が最後の時を迎えたように、私も「ライオンのおやつ」を通して最後の時を過ごす準備をしたいと思う。

(文字数:799字)

ジューイ
ジューイ

ゆーじさんの感想文は、物語の内容を説明するだけでなく、自分にはまだ感謝を伝える準備ができていないという正直な気持ちを書いています。

作品から学んだことを無理に前向きな結論へまとめず、自分の中にある迷いや矛盾を言葉にすることでも、その人にしか書けない感想文になります。

高校生が『ライオンのおやつ』で読書感想文を書くポイント

『ライオンのおやつ』には、死と生、家族、食べ物の記憶、人とのつながりなど、さまざまなテーマが含まれています。

すべてを感想文に盛り込む必要はありません。

自分が最も気になった場面や言葉を一つ選び、そこから考えを広げると、あらすじの説明だけではない感想文になります。

「死」だけでなく「生」をテーマにする

『ライオンのおやつ』は、余命を告げられた雫が最期を迎えるまでを描いた作品です。

そのため、「死について考えた」という感想から書き始める人は多いでしょう。

しかし、作品を通して描かれているのは死の悲しさだけではありません。

雫はライオンの家で食事を味わい、人と出会い、六花と散歩し、タヒチと穏やかな時間を過ごします。
死が近づいていても、雫の毎日には新しい出来事や喜びがあります。

「死ぬのは怖いと思った」で終わらず、次のように考えを広げてみましょう。

  • 限られた時間の中で、雫は何を大切にしていたか
  • 死を意識したことで、雫の生き方はどう変わったか
  • 自分は今の時間を大切にできているか

死を入り口にして「どう生きたいか」まで考えると、感想文に深みが生まれます。

印象に残った場面と自分の経験を結びつける

読書感想文では、印象に残った場面を紹介するだけでなく、なぜその場面が気になったのかを書くことが大切です。

同じ場面を読んでも、感じ方は人によって異なります。その違いを生むのが、これまでの経験や考え方。

たとえば、雫と父の関係が印象に残った場合は、自分と家族との関係を振り返れます。

  • 家族に感謝を伝えられているか
  • 心配をかけたくなくて隠した経験はあるか
  • 相手のために距離を置くことは、本当に優しさなのか

大きな体験を書く必要はありません。

ジューイ
ジューイ

家族と一緒におやつを食べた記憶や、素直に「ありがとう」と言えなかった出来事など、日常の小さな経験でも作品と十分に結びつけられます。

「おやつ」が象徴するものを考える

ライオンの家で振る舞われるおやつは、空腹を満たすだけの食べ物ではありません。

おやつの味や香りには、その人が誰と過ごし、何を大切にしてきたのかという記憶が結びついています。

雫が選んだミルクレープも、父の誕生日に初めて一人で作った思い出のおやつでした。

このことから、おやつを次のようなものとして捉えられます。

  • 家族と過ごした時間の象徴
  • 忘れていた記憶を開く鍵
  • その人が生きてきた証
  • 残された人へ思いをつなぐもの
ジューイ
ジューイ

作品に登場するものへ自分なりの意味を与えると、あらすじをまとめただけではない、自分の解釈が伝わる感想文になります。

自分なら最後に何を選ぶかを掘り下げる

「自分なら人生最後のおやつに何を選ぶか」は、『ライオンのおやつ』の感想文を書き始めるきっかけになります。

ただし、食べたいものの名前を書くだけでは、感想文として十分ではありません。

大切なのは、なぜそれを選ぶのかを掘り下げることです。

たとえば、誕生日に家族が買ってくれたケーキを選ぶなら、その味よりも、家族に祝ってもらった時間をもう一度感じたいのかもしれません。

いつも友人と食べていたお菓子なら、そのお菓子を通して友人との思い出を振り返りたいとも考えられます。

ジューイ
ジューイ

選んだおやつから「誰を思い出すのか」「どの時間に戻りたいのか」まで考えると、自分にしか書けない感想文になります。

『ライオンのおやつ』読書感想文の構成と書き方

読書感想文は、書き出し・本文・まとめの3つに分けて考えると構成を作りやすくなります。

800字程度で書く場合は、書き出しに100~150字、本文に450~550字、まとめに150~200字ほど使うのが目安です。

最初から文字数を均等に埋めようとせず、最も伝えたい考えに多くの文字数を使いましょう。

書き出し|本を選んだ理由や読後の問いを示す

書き出しでは、本を選んだ理由や読み終えた直後に考えたことを簡潔に示します。

作品のあらすじから始めても間違いではありませんが、説明が長くなると、自分の感想を書くための文字数が少なくなります。

『ライオンのおやつ』なら、次のような書き出しが考えられます。

  • 私が人生最後に食べたいおやつは何だろう。
  • もし余命を告げられたら、私は雫のように穏やかに過ごせるだろうか。
  • 読み終えたとき、死の物語なのに温かい気持ちが残ったことが不思議だった。

最初に問いや違和感を示しておくと、本文でその答えを考える流れを作れます。

本文|印象的な場面と自分の考えを書く

本文では、印象に残った場面を一つか二つ選び、その場面から考えたことを書きます。

「雫がミルクレープを選んだ場面が印象に残った」だけでは、まだ作品の説明です。

そこから一歩進み、次の順番で考えてみましょう。

  1. どの場面が印象に残ったか
  2. その場面で何を感じたか
  3. なぜ自分はそう感じたのか
  4. 自分の経験や考えとどうつながるか

たとえば、雫が父に病気を伝えなかったことについて、「父を思いやった行動」と考えることも、「父から一緒に悲しむ機会を奪った行動」と考えることもできます。

どちらかが正解なのではありません。

自分がどのように受け止め、なぜそう考えたのかを説明することが、読書感想文の中心になります。

まとめ|読後の変化や今後に生かしたいことを書く

まとめでは、作品を読む前と読んだあとで、自分の考えがどのように変わったのかを振り返ります。

必ず「これからは毎日を大切にしたい」と前向きに終える必要はありません。

答えが出なかったことや、今後も考え続けたい問いを書いても大丈夫です。

『ライオンのおやつ』なら、次のような内容が考えられます。

  • 家族と過ごせる時間を以前より大切にしたい
  • 感謝は伝えられるうちに伝えたい
  • 自分にとって大切な思い出の味を考え続けたい
  • 死を受け入れることの意味は、まだわからない

作品を読んだことで自分の中に何が残ったのかを示せば、感想文全体を自分の言葉で締めくくれます。

まとめ|自分の経験から『ライオンのおやつ』を読み解こう

『ライオンのおやつ』の読書感想文では、物語の内容を詳しく説明するより、印象に残った一つの場面から自分の考えを掘り下げることが大切です。

死と生、家族への感謝、おやつに残る記憶など、どのテーマを選んでも構いません。

私とゆーじさんの感想文にも、同じ作品を読んだとは思えないほど視点の違いがあります。

だからこそ、例文と同じ感想を持とうとする必要はありません。

「自分なら最後に何を食べたいか」「雫と同じ選択ができるか」「家族へ感謝を伝えられているか」など、自分が気になった問いから考え始めてみてください。

ジューイ
ジューイ

作品と自分の経験を結びつけ、その理由を自分の言葉で説明できれば、それが『ライオンのおやつ』を読んだあなたにしか書けない読書感想文になります。

ゆーじ
ゆーじ

まずは私・ゆーじの読書感想文です。

ゆーじの読書感想文

ジューイ
ジューイ

続いて、ジューイの読書感想文をご覧ください。

ジューイの読書感想文

この本は高校生の読書感想文のテーマとしておすすめしています。

ジューイ
ジューイ

ここからは読書感想文を書く上でのポイントについてみていきましょう。

高校生が『ライオンのおやつ』で読書感想文を書く上でのポイント

『ライオンのおやつ』は、高校生にとっても感想文を書きやすい作品です。

登場人物の感情や行動が明確で、テーマも普遍的。だからこそ、単にあらすじをなぞるだけでは「感想文」ではなく、ただの内容紹介になってしまいます。

大切なのは、自分の視点や経験を重ねること。作品から得た気づきを、自分の言葉で表すこと。

そうすることで、読む人の心に届く文章になります。

以下の3つの視点を意識すると、より深みのある感想文になるはずです。

テーマを「死」だけでなく「生」に広げる

『ライオンのおやつ』は、確かに“死”が避けられないテーマとして描かれています。

しかし、本質は「どう生きるか」という問いです。

雫は死に向き合いながらも、仲間との時間や「おやつの時間」を楽しみ、過去の自分や家族と和解していきます。その姿は、生きることの尊さを教えてくれます。

感想文では「死についてどう感じたか」だけで終わらず、「生きている今、何を大切にしたいか」まで広げること。これが、前向きな印象につながります。

自分の経験や記憶と重ねる

この作品には、誰にでも通じる「思い出」が描かれています。

雫にとっての父とのおやつの記憶のように、自分にも家族や友人との食べ物にまつわる思い出があるはずです。

それを思い返し、作品の場面と重ねてみる。そうすれば、感想文にオリジナリティが生まれます。

「もし自分が雫の立場なら、最後にどんなおやつを選ぶか」。この一文だけでも、自分らしい文章になります。

「おやつ」の意味をどう解釈するか

作中のおやつは、単なる甘い食べ物ではありません。

人生の記憶や人とのつながりを象徴する存在です。

雫が選んだおやつには、彼女が歩んできた道と心情の変化が凝縮されています。

感想文では、おやつを「記憶の扉」や「自分を形作るもの」といった比喩に置き換えてみること。そうすれば、文章に奥行きが生まれます。

まとめ|自分だけの切り口で感想文を書く

『ライオンのおやつ』は、命の最終章を描きながらも、読者に「今をどう生きるか」という問いを投げかける作品。

感想文では、その問いに自分なりの答えを探し、言葉にしていくことが大切です。

あらすじや印象的な場面に触れるだけでなく、「自分ならどう考えるか」「何を選ぶか」という視点を盛り込むこと。テーマの解釈は一つではありません。

死を描く物語だからこそ、そこに込められた生の輝きを見つけ、自分の言葉で表現すること

この感想文を書く過程そのものが、日々の何気ない時間や人とのつながりを見つめ直すきっかけになるはずです。

書き終えたとき、きっと物語の余韻とともに、自分自身への新しい発見が残っているはずです。

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