小学生低学年になると「前は読んでいたのに、最近は続かない」「読書が苦手になったのでは?」と感じる場面が増えてきます。
ただ、その違和感の正体は読書嫌いや意欲の低下とは限りません。
結論から言えば、低学年で読書が続きにくくなるのはごく自然な成長の途中で起こりやすいこと。
1・2年生は、「文字が読める」状態から「内容を理解しながら自分で読む」段階へ切り替わる時期。見た目には分かりにくい負荷が一気に増え、読書が急に重たい行動になりやすくなります。
この記事では、「小学校低学年の読書」という視点から、なぜこの時期につまずきやすいのかを学年別・年齢別に整理していきます。
原因を性格ややる気に結びつける前に、今どんな変化が起きているのかを知ることで、見方は大きく変わります。
「読ませなきゃ」と焦る前に、まず状況を正しく理解すること。そのための整理として、ここから順番に見ていきましょう。
小学生低学年は読書でつまずきやすい時期
小学生低学年は読書の面でつまずきが表れやすい時期です。
これは「本が嫌いになった」「やる気がなくなった」といった感情の変化というより、成長段階の切り替わりによって起こりやすい現象と捉えるほうが自然でしょう。
この時期の子どもは、「読めるようになる」段階から「自分で読んで理解する」段階へと移行します。
文字を追うこと自体はできていても、内容を頭の中で整理しながら読むには、まだ多くのエネルギーが必要。
大人が思っている以上に、読書は負荷のかかる行動になります。
さらに、低学年は生活全体が大きく変わる時期でもあります。
学校生活が本格化し、授業時間が伸び、周囲との関わりも増えていく。その中で、これまで自然にできていたことが、急に難しく感じられる場面が出てきます。読書もその影響を受けやすい行動の一つです。
ここで大切なのは、「今の状態」を性格や意欲の問題として結論づけないこと。
読まない、続かないといった行動だけを見ると不安になりますが、その背景には年齢特有の負荷や変化が重なっている場合が多くあります。低学年でつまずくこと自体は、特別なことではありません。
この視点を持つことで、「どうすれば読ませられるか」という発想から一度距離を置けます。
まずは、今がどんな時期なのかを整理すること。
その上で、次にどこでつまずきやすいのかを見ていくと、必要以上に焦らずに済むようになります。
ここから先は、学年ごとに起こりやすい変化を具体的に整理していきましょう。
小学1年生で起こりやすい読書のつまずき
小学1年生の時期は、読書に関して「できているように見える」と「実際に負荷がかかっている状態」の差が最も出やすい段階です。
入学前後でひらがなを覚え、「読めるようになった」と感じる一方で、読書の中身は大きく変わっています。
ここで起きやすいズレを整理しておきましょう。
ひらがなは読めても内容を追う余裕がない
小学1年生になると、ひらがなを一通り読めるようになる子は多いです。
ただし、この「読める」は文字を音に変換できるという意味であり、文章の内容を理解しながら進められているとは限りません。
実際には、一文字ずつ目で追い、声に出す、意味を考える。そのすべてを同時に行っています。
大人にとっては無意識にできる作業ですが、1年生にとってはそれぞれが初めての経験です。
そのため、文章を最後まで読み終える前に疲れてしまうことも珍しくありません。
ここで起こりやすいのが、「ちゃんと読めているはずなのに、内容が頭に入っていない」という状態。
このズレを見落とすと、「集中していない」「聞いていない」と受け取られがちになります。
ただ実際には、読むことに意識を使い切ってしまっているだけという場合が多いのです。
「読むこと」自体にエネルギーを使っている
小学1年生の読書は「内容を楽しむ」以前に「読む動作そのもの」に力を使っています。
目で文字を追う、行を間違えない、次のページに進む。こうした一つひとつが負荷になっています。
特に、自力読みへ移行する時期は、これまでの読み聞かせとは大きく状況が変わります。誰かが読んでくれる状態から、自分で進めなければならない状態へ。
その切り替えは、想像以上にエネルギーを必要とします。
この段階で読書が続かなくなると、「小学1年生の読書習慣が身についていないのでは」と不安になるかもしれません。
ただ、ここで見ているのは習慣の有無というより、自力で読むことに慣れる途中段階です。つまずきが出やすいのは自然な流れといえるでしょう。
この時期の様子を、好き嫌いや努力不足として判断してしまうと、次の関わり方を誤りやすくなります。
まずは「今は負荷が大きい時期なのだ」と整理すること。それが、この先を考えるための出発点になります。
小学2年生になると見え始める変化
小学2年生は、読書のつまずき方が1年生の頃とは少し変わってくる時期です。ひらがなを読むこと自体には慣れ、「読めない」という感覚は減っていきます。
その一方で、読書が続かなくなる別の理由が見え始めます。ここでは、この学年特有の変化を整理していきましょう。
文字量と情報量が増え、読み切れなくなる
小学2年生になると、読む本の種類が変わってきます。
それは、絵本中心だった時期から、文字が多い児童書へと移行する子が増えるため。1ページあたりの文字量が増え、文章の構造も少しずつ複雑になります。
この変化は、読書の負荷を一気に高めます。内容が長く続き、場面や登場人物を頭の中で整理しながら読む必要が出てくるからです。
結果として、「読み始めることはできるけれど、最後までたどり着けない」という状態が増えていきます。
ここで起きやすいのは、途中で本を閉じてしまう経験の積み重ね。
読めなくなったわけではありません。ただ、情報量の増加に対して、処理が追いつかなくなっているだけというケースが多く見られます。
「前は読めていたのに」という違和感が生まれる
小学2年生の読書で特徴的なのは、親側に生まれる違和感です。「1年生の頃は読めていたのに」「前より読まなくなった気がする」。こうした感覚を持つ家庭は少なくありません。
この違和感は、読書量や様子の変化がはっきり見える時期だからこそ生まれます。読めていた経験がある分、今の状態が後退したように感じられるのです。ただ実際には、求められている読書のレベルが上がっているだけという場合がほとんどでしょう。
ここで焦りが強まると、「小学2年生なのに大丈夫だろうか」と不安が膨らみます。ただ、この段階で起きているのは、成長に伴う課題の変化です。読書が嫌いになったのではなく、読む内容と負荷が切り替わる時期に入ったと考えるほうが適切です。
この違いを整理できると、次にどう向き合えばよいかを冷静に考えやすくなります。2年生の変化は、読書習慣を見直すサインでもありますが、問題の始まりではありません。
低学年のつまずきは「読書が嫌い」だからではない
低学年で読書が続かなくなると、「この子は本が好きではないのかもしれない」と感じてしまいがちです。
ただ、ここまで見てきた通り、この時期に起きている変化は感情の問題とは限りません。
読書への向き合い方が変わりやすい年齢だからこそ、行動だけを見ると誤解が生まれやすくなります。
ここでは、「嫌い」という結論に急がないための切り分け方を整理しておきましょう。
多くはレベル・環境・タイミングの問題
低学年で起きる読書のつまずきは、意欲や性格に原因があるケースよりも、条件が合っていないことによるものが大半です。
本の難しさが今の理解力に合っていない、読む場面が落ち着かない、疲れが溜まっている時間帯に設定されている。こうした要素が重なると、読書は一気に負担の大きい行動になります。
この状態で「やる気がない」「集中力が足りない」と捉えてしまうと、原因が子どもの内側に固定されてしまいます。
しかし実際には、今の段階ではうまく噛み合っていないだけという場合がほとんど。
意欲や性格に帰結させず、条件を切り分けて考えることで、必要以上に責める視点から離れられます。
この時期の経験が、その後の読書に影響する
低学年での読書体験は、その後の関わり方に影響しやすい時期でもあります。
読み切れなかった記憶が続くと、「どうせ最後まで読めない」という感覚が残りやすくなります。
一方で、負担の少ない形で本に触れた経験があれば、読書への距離は極端に開きません。
ここで重要なのは、無理に結果を出そうとしないことです。今の段階でできていないように見えても、それがそのまま将来につながるわけではありません。
ただし、この時期の捉え方次第で、次の一手が変わるのも事実です。
今見てきたように、低学年で読書が続きにくくなる背景には、意欲や性格ではなく、年齢特有の負荷や条件の変化があります。
まずは「なぜ今、つまずきやすいのか」を年齢の視点で整理できたかどうかが大切です。
その上で、すでに触れてきた読書習慣の仕組みをあらためて振り返ってみると、今の状況がより立体的に見えてきます。
行動が続く・続かない理由を構造として捉え直すことで、関わり方を見直すヒントも整理しやすくなるはずです。
高学年になるとつまずき方は変わっていく
小学生高学年になると、読書で感じる難しさの質が低学年とは変わってきます。
文字は問題なく読める。それでも本が進まない、途中で止まってしまう。
こうした状態が目立ち始めるのが、この時期の特徴です。読書が続かない理由を、単純に「興味がなくなった」と捉えてしまうと、実際に起きている変化を見誤りやすくなります。
内容理解が前提になり、読むハードルが上がる
高学年の読書では、内容を理解しながら読むことが前提になります。文章量が増え、説明や心情描写も複雑になるため、ただ文字を追うだけでは話についていけません。その結果、「読めるのに進まない」という状態が生まれます。
この段階では、集中力や根気の問題に見えがちです。ただ実際には、理解に必要な負荷が一段階上がっていることが大きな要因です。登場人物の関係を整理したり、前の内容を思い出したりしながら読む必要があるため、途中で疲れてしまうことも珍しくありません。
小学生高学年の読書は、量よりも理解の深さが求められる時期です。ここでつまずくと、「最後まで読めない」「読むのが大変」という感覚が強まりやすくなります。
低学年期の経験が影響することもある
高学年での読書のつまずきは、今の内容だけが原因とは限りません。低学年の頃に積み重なった経験が影響している場合もあります。途中で読むのをやめた記憶や、読み切れなかった体験が残っていると、「どうせ最後までいかない」という感覚が無意識に働きます。
このような記憶は、本人がはっきり意識していなくても行動に影響します。本を開いてもすぐに閉じてしまう、読む前から気が進まない。そうした反応の背景に、過去の読書体験の持ち越しがあることも少なくありません。
ここで重要なのは、現在の様子だけで判断しないことです。高学年での読書の難しさは、その時点の学習内容だけでなく、これまでの積み重ねが表れている場合もあります。そう捉えることで、「今さらどうにもならない」という見方から離れ、状況を冷静に整理しやすくなります。
まとめ:今の年齢で起きていることを整理する
ここまで見てきたように、読書でつまずく理由は一つではありません。低学年と高学年では、難しさの質そのものが変わっていきます。今の様子だけを切り取って「読書が向いていない」「努力が足りない」と判断する必要はありません。多くの家庭で、同じような段階を通っています。
大切なのは、「今はどの時期にいるのか」を整理することです。年齢ごとの特徴を知ると、「うちの子だけではない」という見方に切り替えやすくなります。その視点があると、次に何をすべきかを急いで決めなくても大丈夫だと感じられるはずです。
家庭でできる工夫を重ねてきた場合でも、状況がすぐに変わらないことは珍しくありません。それは関わり方が間違っているからではなく、家庭だけでは調整しきれない要素があるからです。無理に一人で抱え込まず、選択肢を知ることも大切な判断になります。
今の悩みを全体の流れの中で捉え直したい場合は、最初の視点に立ち戻ってみてください。状況を整理することで、次の一歩を落ち着いて選びやすくなります。
全体の流れをもう一度整理したい場合は、最初の視点に戻って考えてみてください。
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