読書感想文に選ばれることも多い、新美南吉の名作『ごんぎつね』。
子どものころに読んだことはあっても、「どんな話だったっけ?」「最後はどうなったの?」と、詳しい内容までは思い出せない人も多いのではないでしょうか。
『ごんぎつね』は短い物語ですが、ごんと兵十のすれ違いや、取り返しのつかない結末が強く心に残る作品です。
この記事では、『ごんぎつね』のあらすじを短く簡単に紹介するとともに、結末や最後の一文の意味を考えます。

読書感想文のテーマにしやすい5つの場面も取り上げるので、何を書けばよいか迷っている人も参考にしてください。

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※この記事には、物語の結末に関する内容が含まれています。
『ごんぎつね』ってどんな本?【簡単なあらすじ】
『ごんぎつね』は、新美南吉が18歳だった1931年に「権狐」という題名で書いた児童文学。
翌1932年、児童文学雑誌『赤い鳥』に「ごん狐」として掲載されました。
物語の舞台は、新美南吉が生まれ育った愛知県半田市の岩滑(やなべ)地区です。
主人公は、森の中でひとりぼっちで暮らしている子ぎつねの「ごん」。
人間の村へ出かけては、いたずらをして村人たちを困らせていました。
『ごんぎつね』のあらすじ
ある日、ごんは兵十が川で捕っていた魚やウナギを逃がします。
その後、兵十の母親の葬式を見たごんは、ウナギを食べさせられなかったのではないかと考え、自分のいたずらを後悔しました。
兵十も自分と同じひとりぼっちになったと知ったごんは、償いのつもりで栗や松茸を届け始めます。
しかし、届け主を知らない兵十は、ごんがまたいたずらに来たと思い、火縄銃で撃ってしまいました。
土間に置かれた栗を見た兵十は、そこで初めて毎日届けていたのがごんだったと気づきます。
兵十の問いかけにごんがうなずき、物語は静かに終わります。
ここで注意したいのは、兵十が母親のためにウナギを捕っていたとは、物語の中で事実として説明されていないことです。
「母親にウナギを食べさせようとしていたのではないか」と考えたのは、ごん自身です。
兵十の本当の目的は明かされていません。

この「事実」と「ごんの想像」の違いは、『ごんぎつね』を読み解くうえで大切なポイントになります。
『ごんぎつね』の結末と最後の一文の意味
『ごんぎつね』のラストでは、栗を届けていたのがごんだと知った兵十が、次のように問いかけます。
「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」
ごんは、ぐったりと目をつぶったままうなずきます。
ごんの思いが兵十に伝わった、物語で最初の瞬間です。
しかし、そのときには、すでに取り返しのつかないことが起きていました。
ごんは最後に死んだのか?
物語の中には「ごんは死んだ」とはっきり書かれていません。
兵十の問いかけにうなずいたあと、ごんがどうなったのかは描かれないまま物語が終わります。
そのため、ごんの生死を断定することはできません。
ただし、火縄銃で撃たれて倒れた描写から、ごんは命を落としたと受け取る人が多いでしょう。

あえて答えを書かないことで、ごんと兵十のその後を読者に考えさせる結末になっています。
最後の一文が表していること
『ごんぎつね』の最後の一文は、次の文章です。
「青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。」
兵十の気持ちは、直接説明されていません。
その代わりに描かれているのが、火縄銃から細く出ている青い煙です。
煙がまだ残っていることで、ほんの少し前に起きたことを元に戻せない現実が強く伝わってきます。
細く消えていく煙は、真実を知った兵十の後悔や、ふたりの間に残った悲しさを表しているようにも見えます。
ただし、この一文に決まった解釈があるわけではありません。

静けさ、後悔、命のはかなさ、すれ違いの終わりなど、読む人によって異なる意味を感じられる場面です。
『ごんぎつね』を読み解く5つの場面とテーマ
『ごんぎつね』には、読書感想文のテーマにしやすい場面がいくつもあります。
ここからは物語の内容を繰り返すのではなく、それぞれの場面から何を考えられるのかに注目していきましょう。
ウナギを逃がす場面|知らないうちに誰かを傷つける怖さ
ごんにとっては、いつものいたずらだったのかもしれません。
しかし、自分では大したことではないと思っていても、相手にとっては大きな意味を持っている場合があります。
悪気があったかどうかだけでなく、自分の行動が相手にどのような影響を与えるのかまで考えることが大切です。
この場面からは、相手の事情を知らずに行動する怖さを考えられます。
【読書感想文を書くためのヒント】
- 悪気はなかったのに、誰かを困らせてしまったことはある?
- あとから相手の事情を知って後悔した経験はある?
- 相手を傷つけないために、どのようなことを考えればよい?
鰯を届ける場面|善意が裏目に出ることもある
ごんは兵十のために行動したつもりでしたが、その方法には問題がありました。
「相手のためにした」という気持ちがあっても、方法を間違えれば、かえって相手を苦しめてしまうことがあります。
親切や思いやりでは、自分の気持ちだけでなく、相手がどのような結果を受けるのかまで考えなければなりません。
この場面は、善意だけですべてが正当化されるわけではないことを教えてくれます。
【読書感想文を書くためのヒント】
- よかれと思ってしたことが迷惑になってしまった経験はある?
- ごんは行動する前に何を考えるべきだった?
- 気持ちと方法のどちらが大切だと思う?
栗や松茸を届ける場面|優しさと気づいてほしい気持ち
ごんは誰にも伝えず、栗や松茸を届け続けます。
一見すると、見返りを求めない優しさのように見える行動ですが、兵十が神様に感謝していると知ったごんは「つまらない」と感じます。
ごんの心の中には、兵十の役に立ちたい気持ちだけでなく、自分の行動に気づいてほしい気持ちもあったのでしょう。
誰かに親切にしたとき、感謝されたり、自分の行動を認めてもらったりしたいと思うのは、不自然なことではありません。
この場面からは、善意の中にある複雑な気持ちについて考えられます。
【読書感想文を書くためのヒント】
- 誰かにしたことを「気づいてほしい」と思ったことはある?
- ごんは、なぜ神様に感謝する兵十を見てつまらないと感じた?
- 見返りを求める親切は、本当の優しさではないと思う?
ごんが撃たれる場面|過去の印象で決めつける怖さ
兵十の判断には、ごんが以前いたずらをしたという記憶が影響しています。
一度できた悪い印象は、簡単には変わりません。
相手が何をしようとしているのかを確かめず、過去の印象だけで判断することが、取り返しのつかない結果につながる場合もあります。
一方で、兵十はごんが償おうとしていることを知りませんでした。
兵十だけを責めるのではなく、なぜ誤解が解けなかったのかを考えることも重要です。
【読書感想文を書くためのヒント】
- 最初の印象だけで誰かを決めつけてしまったことはある?
- 自分が兵十だったら、ごんを見たときにどう行動する?
- ごんと兵十には、誤解を防ぐために何ができたと思う?
「ごん、お前だったのか」の場面|気づくのが遅すぎたとき
この言葉には、真実を知った驚きだけでなく、兵十の後悔や悲しさも込められていると考えられます。
もっと早く気づいていれば、結果は変わっていたかもしれません。
しかし、兵十がごんの行動の意味を知ったときには、お礼を伝えることも、誤解を謝ることもできない状態になっていました。
私たちも、誰かがしてくれたことの意味に、あとから気づくことがあります。
身近な人の優しさを当たり前だと思わず、今のうちに気づくことの大切さを考えさせられる場面です。
【読書感想文を書くためのヒント】
- 「もっと早く気づけばよかった」と思った経験はある?
- 真実を知った兵十は、どのような気持ちだったと思う?
- 今、自分が気づいていない誰かの優しさはないだろうか?
読書感想文を書くときは、以上の5つから最も心に残った場面をひとつ選んでみてください。
「あらすじを説明する」のではなく、
- その場面で何を感じたのか
- なぜ気になったのか
- 自分にも似た経験があるか
- 読んだあとに考え方がどう変わったか
を掘り下げると、自分らしい読書感想文になります。

実際の800字の例文や感想文の内容は、別の記事で紹介しています。
⇒『ごんぎつね』の読書感想文例文800字を読む
まとめ|『ごんぎつね』は思いが届くのが遅すぎた物語
『ごんぎつね』を一言で表すなら、思いが届いたときには遅すぎた物語です。
ごんと兵十の間には、相手の事情を知らないこと、過去の印象、伝えられなかった気持ちがありました。
どちらか一方だけが悪いと考えるのではなく、なぜすれ違いを防げなかったのかを考えることで、この物語の見え方は変わってきます。
また、最後の一文では登場人物の気持ちが説明されず、青い煙だけが描かれています。
そこにどのような意味を感じるかも、読む人によって異なるでしょう。
読書感想文を書くときは、決まった教訓を探す必要はありません。

自分が心を動かされた場面を選び、何を感じたのかを自分の言葉で考えてみてください。

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