『星の王子さま』は有名な作品ですが、実際に読んでみると、不思議な出来事や意味の深い言葉が多く、「結局どんな話だったのだろう?」と感じることがあります。
- 王子さまは、なぜ自分の星を出たの?
- 旅先で出会った大人たちは何を表しているの?
- ヘビにかまれた王子さまは、最後にどうなったの?
このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、『星の王子さま』のあらすじを100字で簡単にまとめたうえで、王子さまの旅立ちから結末までをネタバレありでわかりやすく紹介します。
あわせて、主な登場人物、王子さまが訪れた6つの星、物語の結末、作品が伝えたかったテーマについても解説します。

私ジューイが、物語の中で実際に起きたことと、そこから読み取れる意味を分けながら整理しますね。

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※この記事は『星の王子さま』の結末に触れています。
『星の王子さま』とは?どんな話か簡単に紹介
『星の王子さま』は、フランスの作家であり飛行士でもあったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの代表作です。
原題は『Le Petit Prince』で、第二次世界大戦中の1943年に出版されました。
日本では1953年に岩波書店から内藤濯訳が出版され、その後も多くの翻訳が刊行されています。
そのため、印象的な言葉の表現は、読んでいる翻訳によって少し異なることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作者 | アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ |
| 原題 | Le Petit Prince |
| 出版年 | 1943年 |
| 日本での初訳 | 1953年 |
| 主な舞台 | 小惑星B612・6つの小惑星・地球 |
| 物語の語り手 | サハラ砂漠に不時着した飛行士 |
物語を語るのは、飛行機の故障によってサハラ砂漠へ不時着した飛行士です。
飛行士は砂漠で、小さな星から来た王子さまと出会います。
二人が一緒に過ごしたのはわずか十日間ですが、飛行士はその間に、王子さまが自分の星を離れ、さまざまな出会いを経験して地球へ来たことを知りました。
王子さまの旅を通して描かれるのは、単なる宇宙の冒険ではありません。
見た目や数字ばかりを気にする大人たちへの疑問と、誰かを大切に思うことの意味を考える物語です。

子どもの目線で大人の世界を見つめながら、愛情・友情・孤独・責任について問いかけてくる作品です。
『星の王子さま』の主な登場人物
『星の王子さま』には多くの人物が登場しますが、まずは物語の中心となる5人を押さえておきましょう。
王子さま
小惑星B612と考えられる小さな星で暮らしていた少年。
自分の星に咲いた一輪のバラとの関係に悩み、ほかの世界を知るために旅へ出ます。
何かわからないことがあると、答えを得るまで質問をやめません。
飛行士の「ぼく」
物語の語り手。
子どものころは絵描きになりたいと思っていましたが、自分の絵を大人たちに理解してもらえず、夢を諦めて飛行士になりました。
飛行機の故障でサハラ砂漠に不時着し、王子さまと出会います。
バラ
王子さまの星に咲いた一輪の花。
美しくよい香りを放つ一方で、気位が高く、王子さまを困らせる言葉も口にします。
王子さまにとって、守るべき大切な存在です。
キツネ
王子さまが地球で出会う動物。
関係を築くには時間が必要であることや、相手を特別な存在にするものは何かを王子さまに教えます。
ヘビ
王子さまが地球へ到着した直後に出会う生き物。
謎めいた言葉を語り、最後には王子さまが自分の星へ帰るための手助けをします。

このほかに、王子さまが旅の途中で訪れた6つの星には、王様、うぬぼれ屋、酒飲み、実業家、点灯夫、地理学者が一人ずつ住んでいます。
『星の王子さま』のあらすじを簡単に解説【ネタバレあり】
ここからは、王子さまが自分の星を出た理由から、飛行士との別れまでを出来事の順番に沿って紹介します。
100字でわかる『星の王子さま』のあらすじ
小さな星を離れた王子さまは、六つの星を巡って地球へたどり着く。砂漠で出会った飛行士やキツネとの交流を通して、自分が世話をしたバラの特別さと責任に気づき、ヘビの力を借りて大切な星へ帰ろうとする物語です。
王子さまは、最初から大切なものの意味を知っていたわけではありません。
バラとのすれ違いや旅先での出会いを経験しながら、自分にとって本当に大切なものに気づいていきます。
「ぼく」と王子さまの出会い|砂漠で頼まれたヒツジの絵
物語の語り手である「ぼく」は、6歳のときに、ゾウを丸ごと飲み込んだ大蛇ボアの絵を描きました。
しかし、大人たちはその絵を帽子だと思い、誰も「ぼく」の想像を理解してくれません。
絵を描くことを諦めた「ぼく」は、成長して飛行士になりました。
ある日、「ぼく」の乗った飛行機が故障し、サハラ砂漠へ不時着します。
飲み水は一週間分しかなく、周囲には助けを求められる人もいません。
翌朝、一人で眠っていた「ぼく」は、見知らぬ少年の声で目を覚まします。
少年は事情を説明するより先に、ヒツジの絵を描いてほしいと頼んできました。
「ぼく」が試しに大蛇ボアの絵を見せると、少年は、それがゾウを飲み込んだヘビだとすぐに見抜きます。
初めて自分の絵を理解してくれた相手が、星の王子さまでした。

「ぼく」は何度かヒツジを描きますが、王子さまは納得しません。
最後に箱の絵を描き、「ヒツジはこの中にいる」と説明すると、王子さまは望んでいたヒツジだと喜びました。

目に描かれていないヒツジを見る王子さまと、見えるものだけで絵を判断した大人たち。
この出会いの場面から、子どもと大人のものの見方の違いが表れています。
王子さまの星と一輪のバラ|すれ違いと旅立ち
王子さまが暮らしていたのは、一軒の家より少し大きいほどの小さな星でした。
飛行士は、その星を小惑星B612ではないかと考えます。
星には二つの活火山と一つの休火山があり、王子さまは毎日、火山を掃除したり、星を壊す危険があるバオバブの芽を抜いたりして暮らしていました。
そんな星に、ある日、一輪の美しいバラが咲きます。
王子さまはバラを大切にして、風よけを用意したり、水をあげたりしました。
しかし、バラは気位が高く、素直に気持ちを伝えません。
王子さまもバラの言葉をそのまま受け止めてしまい、どう接すればよいのかわからなくなります。
バラを愛していながら、その気持ちを理解できなかった王子さまは、自分の星を出て旅をすることにしました。
別れのとき、バラは初めて王子さまへの愛情を認めます。
それでも二人は素直に向き合えないまま、王子さまは渡り鳥とともに星を離れました。
6つの星を巡る旅|奇妙な大人たちとの出会い
自分の星を出た王子さまは、近くにある6つの小惑星を順番に訪れます。
それぞれの星に住んでいたのは、自分の権威にこだわる王様、ほめられることだけを望むうぬぼれ屋、酒を飲む恥を忘れるために酒を飲む酒飲み、星を所有していると主張して数え続ける実業家、命令に従って街灯をつけたり消したりする点灯夫、自分では調査に出ない地理学者でした。
大人たちは、自分がしていることに夢中になり、周囲が見えなくなっています。
王子さまは彼らの姿を不思議に思いながら、旅を続けました。
最後に会った地理学者から、地球は評判のよい星だと教えられた王子さまは、7番目の星として地球へ向かいます。
地球への到着|ヘビとバラ園で知ったこと
地球へ到着した王子さまが降り立ったのは、人の姿が見えない砂漠でした。
そこで出会った黄色いヘビは、自分には触れた者を元の場所へ帰す力があるとほのめかします。
この出会いが、物語の結末につながっていきます。
王子さまは人間を探して歩き、やがてバラが咲く庭園にたどり着きました。
そこには、自分の星のバラとよく似た花が五千本も咲いています。
王子さまは、自分のバラは世界に一輪しかないと思っていました。
ところが、同じように見えるバラがたくさん咲いていたため、自分が持っていたものは特別ではなかったのかもしれないと考え、悲しくなって泣いてしまいます。

この時点の王子さまは、見た目が同じなら価値も同じだと思っていました。
自分のバラが特別である本当の理由には、まだ気づいていません。
キツネとの出会い|王子さまが気づいたバラの特別さ
悲しんでいた王子さまの前に、一匹のキツネが現れます。
王子さまが一緒に遊ぼうと誘うと、キツネは、まだ二人の間に関係ができていないため遊べないと答えました。
そして、お互いを特別な存在にするには、少しずつ距離を縮め、時間をかけて絆をつくる必要があると教えます。
王子さまはキツネの言葉に従い、毎日少しずつ近くに座りました。
二人は時間を重ねることで、世界に大勢いる男の子とキツネではなく、お互いにとってかけがえのない存在になります。
別れの日、キツネは王子さまに、もう一度バラ園を見るよう促しました。
そこで王子さまは、自分の星のバラが特別なのは、ほかのバラと見た目が違うからではなく、自分が水をあげ、風から守り、話を聞いてきたからだと気づきます。
自分が時間を使い、関係を築いたからこそ、あのバラは世界に一輪だけの存在になっていたのです。
キツネはさらに、本当に大切なものは目だけでは見えないことと、関係を築いた相手には責任が生まれることを伝えました。
キツネとの出会いによって、王子さまは自分がバラのもとへ帰るべき理由を理解します。
砂漠の井戸|「ぼく」と王子さまが見つけたもの
王子さまは地球へ到着してから一年近くがたったころ、最初に降り立った砂漠へ戻り、飛行士の「ぼく」と出会いました。
二人が出会って8日目、「ぼく」が持っていた飲み水がなくなります。
飛行機の修理も終わっておらず、命の危険が迫るなか、王子さまは井戸を探しに行こうと提案しました。
広い砂漠で井戸を探すのは、現実的に考えれば無謀です。
それでも二人は、月明かりの下を何時間も歩き続けました。
やがて眠ってしまった王子さまを「ぼく」が抱いて歩き、夜が明けたころ、二人は滑車と桶のある井戸を見つけます。
そこで飲んだ水は、ただ喉の渇きを満たすだけの水ではありませんでした。
星空の下を一緒に歩いた時間、井戸を探し続けた苦労、滑車の音、二人でくみ上げたという経験。
そのすべてが重なったことで、水は二人にとって特別なものになりました。

この場面で「ぼく」も、物の価値は見た目や役割だけで決まるのではなく、そこに重ねた時間や思いによって生まれることを理解します。
結末|ヘビにかまれた王子さまと「ぼく」の別れ
井戸を見つけた翌日、「ぼく」は飛行機の修理を終えます。
一方、王子さまは、自分が地球へ来てちょうど一年になる夜、自分の星が砂漠の上空へ戻ってくることを知っていました。
王子さまは、残してきたバラへの責任を果たすため、自分の星へ帰ることを決めます。
しかし、遠く離れた星まで今の体を持っていくことはできません。
そこで王子さまは、地球へ来たときに出会ったヘビの毒を借りることにしました。
王子さまの計画に気づいた「ぼく」は、別れを止めたいと思います。
それでも王子さまは、夜空の星を見れば、そのどこかで自分が笑っているように感じられると「ぼく」に伝えました。
そして、王子さまはヘビに足首をかまれます。
音も立てずに砂の上へ倒れますが、翌朝、その場所に王子さまの体はありませんでした。
「ぼく」は飛行機で砂漠から帰還します。
それから6年が過ぎても、星空を見上げるたびに王子さまの笑い声を思い出しながら、王子さまが自分の星へ帰れたことを信じています。
ただし、「ぼく」には一つ心配が残りました。
王子さまに渡したヒツジ用の口輪へ、革ひもを描き忘れていたのです。
口輪をつけられなければ、ヒツジがバラを食べてしまった可能性があります。
バラが無事なら星は笑っているように感じられ、食べられてしまったのなら、その笑い声は涙に変わります。
王子さまが帰った後の出来事には答えが示されないまま、物語は読者へ問いを残して終わります。
※あらすじと基本情報は、「星の王子さま」公式サイトの作品紹介・物語・登場人物と照合しています。
王子さまが訪れた6つの星と大人たちの意味

王子さまが地球へ来る前に訪れた6つの星には、それぞれ一人の大人が住んでいました。
彼らの姿には、大人が陥りやすい考え方が強調して描かれています。

ここからは、物語での行動と、そこから読み取れる意味を分けて見ていきましょう。
王様|権力にこだわる大人
最初の星にいた王様は、すべてを自分が支配していると考え、王子さまにも命令しようとします。
ただし、王様が出すのは、相手が実行できるとわかっている命令ばかりです。
夕日が沈む時刻を見計らってから、太陽に沈むよう命令するといった具合でした。
王様の姿から見えるのは、誰かの役に立つためではなく、自分に権力があるように見せることへこだわる大人です。

人を動かすことが目的になると、命令そのものに意味がなくても、立場を守ることを優先してしまいますよね。
うぬぼれ屋|他人の評価を求める大人
二番目の星にいたうぬぼれ屋は、自分が最も立派で、美しく、裕福で、賢い人物だと信じています。
王子さまに求めるのも、自分をほめたたえることだけ。
相手が何を考えているかには関心がなく、自分に向けられる称賛だけを待っています。
うぬぼれ屋は、他人の評価によってしか自分の価値を確かめられない大人と考えられます。

ほめられることばかりを求めていると、目の前の相手と本当の関係を築くことができません。
酒飲み|問題から逃げ続ける大人
三番目の星にいた酒飲みは、酒を飲んでいることを恥じています。
ところが、その恥ずかしさを忘れるために、さらに酒を飲み続けていました。
酒を飲むことが新しい恥を生み、その恥から逃げるためにまた酒を飲む。
原因と結果が同じ場所を回り続けています。
酒飲みが表しているのは、苦しさの原因と向き合わず、一時的に忘れることで問題から逃げる姿です。

王子さまは理由を尋ねますが、酒飲みは会話を終わらせ、再び自分の中へ閉じこもってしまいます。
実業家|数字と所有に執着する大人
四番目の星にいた実業家は、空にある星の数を休むことなく数えています。
そして、自分が最初に所有を思いついたため、すべての星は自分のものだと主張しました。
しかし、実業家は星を美しくすることも、世話をすることもありません。
数を紙に書いて保管するだけです。
一方、王子さまは火山を掃除し、バラに水をあげています。
王子さまにとって「持つ」とは、その存在の役に立ち、責任を持つことでした。
実業家の姿からは、数字を増やして所有することが目的になり、その中身や使い道を見失う大人の姿が読み取れます。
点灯夫|命令に従い続ける大人
五番目の星にいた点灯夫は、決められた命令に従い、街灯をつけたり消したりしています。
昔は一日に一度ずつ行えばよい仕事でしたが、星の自転が速くなったため、今では一分ごとに点灯と消灯を繰り返さなければなりません。
それでも命令は変わらず、点灯夫は休むこともできません。
王子さまは、自分のことばかり考えていない点灯夫に、ほかの大人とは違う好意を持ちます。
街灯をつける行為は、少なくとも自分以外のものに向けられているからです。
その一方で、状況が変わっても古い命令へ従い続ける姿からは、仕事の目的を考え直せない大人の苦しさも見えてきます。
地理学者|知識だけで行動しない大人
六番目の星にいた地理学者は、分厚い本を作り、海や山、川などを記録する仕事をしています。
ところが、地理学者自身は机を離れて調査をしません。
探検家から話を聞いて記録する立場だからという理由で、自分が住んでいる星に何があるのかさえ知りませんでした。
地理学者は多くの知識を持っていても、自分の目で確かめるために行動しない大人です。
情報を集めることと、実際に世界を知ることは同じではないと気づかされます。
また、地理学者から花は消えてしまう可能性のある存在だと聞いた王子さまは、星に一人で残したバラを心配します。
この後悔も、王子さまがバラのもとへ帰ろうと考えるきっかけになりました。
『星の王子さま』の結末を解説|王子さまは死んだのか

『星の王子さま』の結末では、王子さまがヘビにかまれて倒れます。
そのため「王子さまは死んだのか」「本当に自分の星へ帰ったのか」と疑問に思う人も多いでしょう。
作品の中では、王子さまが死んだとも、自分の星へ帰ったとも、客観的な事実として断定されていません。

ここでは、物語に書かれた手がかりから結末を考えます。
王子さまは自分の星へ帰ったのか
王子さまは、遠く離れた星へ帰るには体が重すぎると考え、ヘビの力を借りました。
ヘビにかまれた直後、王子さまの体は砂の上へ倒れています。
この出来事だけを見れば、王子さまの肉体が死を迎えたと読むことができます。
一方で、翌朝になると体は消えていました。
王子さま自身は星へ帰るつもりで行動し、「ぼく」も、王子さまがバラのもとへ戻ったと信じています。
つまり、この結末では「肉体の死」と「大切な場所への帰還」が重なるように描かれています。
どちらか一方だけを正解とするよりも、姿が見えなくなった後も、その人との関係は残り続けるという物語として受け取ることができます。

王子さまが本当に帰れたのかを証明する場面はありません。
その答えを読者の目ではなく、心に委ねている結末なのだと思います。
「ぼく」に聞こえる笑い声が意味するもの
別れを前にした王子さまは、「ぼく」が夜空を見上げると、すべての星が笑っているように感じられると伝えます。
どの星に王子さまが住んでいるのかはわかりません。
しかし、わからないからこそ、「ぼく」にとっては夜空にあるすべての星が王子さまにつながります。
星そのものが変わったわけではありません。
王子さまと過ごした時間によって、「ぼく」にとっての星の意味が変わったのです。
笑う星は、王子さまが姿を消しても二人の関係が失われていないことを表していると考えられます。
別れの悲しみを消すのではなく、思い出すたびに悲しみと喜びの両方を感じられる贈り物。
その一方で、「ぼく」はヒツジがバラを食べていないか心配しています。
バラが無事かどうかによって、星の笑い声は涙の音にも変わります。
見たことのないヒツジが、遠い星にある一輪のバラを食べたかどうか。

外から見れば小さな問題ですが、王子さまとバラの関係を知った「ぼく」にとっては、夜空全体の意味を変えるほど大切な問題です。
『しくじり先生』の星の王子様の授業の一部はYouTubeにUPされています。
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『星の王子さま』のテーマと伝えたかったことを考察
『星の王子さま』には、一つの答えだけが書かれているわけではありません。
読む人の年齢や経験によって、バラ、キツネ、6つの星、井戸、王子さまとの別れが違う意味を持ちます。

ここでは、物語全体を理解するうえで中心となる4つのテーマを紹介します。
大人と子どもの対比|本質を見る心の違い
物語の初めに登場する大蛇ボアの絵を、大人たちは帽子だと判断しました。
一方、王子さまは絵の中にいるゾウまで一目で理解します。
6つの星にいた大人たちも、権力、称賛、数字、知識など、目に見えたり説明しやすかったりするものへ夢中になっていました。
ここで批判されているのは、年齢を重ねること自体ではありません。
見えるものや数字だけで判断し、自分が正しいと思っている枠の外を想像しなくなることです。
飛行士の「ぼく」も最初は、飛行機を直すことに追われ、王子さまの話へ十分に耳を傾けられない場面があります。
しかし、王子さまと時間を過ごすうちに、子どものころに持っていたものの見方を取り戻していきました。

『星の王子さま』は、大人と子どもを分ける物語というより、大人になっても本質を見ようとする心を失っていないかと問いかける物語です。
バラが表すもの|愛することと責任
王子さまの星に咲いたバラは、決して理想的な存在ではありません。
気位が高く、素直になれず、ときには王子さまを困らせます。
王子さまもバラの言葉に傷つき、その奥にある気持ちを理解できないまま星を離れました。
地球のバラ園を見た王子さまは、自分のバラも五千本のうちの一輪にすぎないと思います。
しかし、キツネとの交流を通して、見た目が同じでも関係まで同じになるわけではないと気づきました。
王子さまが水をあげ、風から守り、話を聞くために使った時間が、バラを特別な存在にしています。

愛することは、相手を理想通りの存在だと思い込むことではありません。
不完全な相手と関係を築き、その相手に対して責任を持つことだと読み取れます。
キツネが教えたこと|絆は時間をかけて生まれる
王子さまと出会ったばかりのキツネにとって、王子さまは大勢いる男の子の一人でした。
王子さまにとっても、キツネは大勢いるキツネの一匹です。
二人が特別な存在になるためには、一緒に過ごす時間が必要でした。
毎日同じ時刻に会い、少しずつ近くに座り、相手を待つ。
その積み重ねによって、麦畑の色を見るだけで王子さまの金色の髪を思い出せるようになります。
絆が生まれると、出会う前には何の意味もなかった景色まで特別になります。
その代わり、別れれば悲しみも生まれます。

キツネは、悲しくなる可能性があるから関係を築かないのではなく、別れの悲しみを引き受けてでも、誰かと関係を結ぶことには価値があると教えているのです。
「大切なものは目に見えない」の意味
『星の王子さま』を代表する考え方が「大切なものは目に見えない」という言葉です。
これは、目に見えるものに価値がないという意味ではありません。
同じように見えるバラでも、王子さまが世話をした一輪だけは特別です。
ただの水でも、二人で歩いて見つけた井戸の水には、重ねた時間や苦労が加わっています。
どこにでもある星も、王子さまとの別れを経験した「ぼく」にとっては笑い声を思い出す存在になりました。
バラ、井戸の水、夜空の星は、外から見ただけではその特別さがわかりません。
その人が誰と時間を過ごし、どのような気持ちを注いできたかによって、物の意味は変わります。
目に見えないのは、愛情、絆、思い出、責任といった、関係の中で生まれる価値です。

『星の王子さま』が伝えているのは、特別なものを遠くへ探しに行く方法ではありません。
自分が時間を使い、大切にしてきたものの価値に気づくことなのだと思います。
『星の王子さま』を読んで感じたことや、小学生・中学生・高校生・社会人それぞれの読書感想文例は、次の記事で紹介しています。
まとめ|『星の王子さま』は愛と絆の意味を問いかける物語
『星の王子さま』は、小さな星を離れた王子さまが、6つの小惑星と地球を巡り、自分のバラが特別な存在である理由に気づく物語です。
王子さまが出会った大人たちは、権力、評価、所有、知識などにとらわれ、大切なものを見失っていました。
一方、キツネは、時間をかけて関係を築くことで、相手がかけがえのない存在になると教えます。
王子さまは、その教えによって、自分が世話をしてきたバラへの責任を理解しました。
そして最後は、ヘビの力を借り、バラが待つ星へ帰ろうとします。
王子さまが本当に星へ帰れたのかは、はっきりとは示されません。
それでも「ぼく」にとって、夜空の星は王子さまの笑い声を思い出す特別なものになりました。
姿が見えなくても、二人で過ごした時間と結ばれた絆は残り続けます。
見た目や数字だけではわからない価値に、心を向けること。

それが『星の王子さま』が今も多くの人に問いかけている「本当に大切なもの」なのではないでしょうか。

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