
「読書感想文にどの本を選べばいいのか分からない」「最後まで読めても、書くことが思いつくか不安」と悩んでいませんか。
中学生の読書感想文では、有名な本や難しい本を選ぶことよりも、自分の経験や興味と結びつけて考えられる作品を選ぶことが大切です。
この記事では、中学生の読書感想文におすすめの本20冊を、短くて読みやすい作品と中学1年生・2年生・3年生向け、読書好き向けに分けて紹介します。
それぞれのページ数や読みやすさ、主なテーマ、感想文につながる問いもまとめました。
書きやすい本の選び方やよくある疑問についても解説するので、自分に合った一冊を見つけたい中学生や保護者の方は、ぜひ参考にしてください。

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中学生の読書感想文におすすめの本20選【早見表】
中学生が読書感想文の本を選ぶときは、ページ数だけでなく「最後まで読み切れそうか」「自分の経験や考えと結びつけられそうか」も大切です。
ここでは、短くて読みやすい作品から、社会や生き方について深く考えられる作品まで、おすすめの本20冊を比較しました。

読みやすさは、文章の難易度やページ数、物語の構成などをもとに「読みやすい」「標準」「やや難しい」の3段階で示しています。
| 本のタイトル | 著者 | ページ数 | 読みやすさ | 書きやすいテーマ | おすすめする人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 西の魔女が死んだ | 梨木香歩 | 226ページ | 読みやすい | 自立・家族・死・成長 | 自分で決めることや家族との関係について書きたい人 |
| 卵の緒 | 瀬尾まいこ | 224ページ | 読みやすい | 家族・親子・血のつながり・愛情 | 家族とは何かを身近な視点から考えたい人 |
| きりこについて | 西加奈子 | 224ページ | 読みやすい | 外見・自分らしさ・自己肯定感・成長 | 見た目や自分の価値について書きたい人 |
| センス・オブ・ワンダー | レイチェル・カーソン | 144ページ | 読みやすい | 自然・好奇心・感性・発見 | 短いノンフィクションから選びたい人 |
| カラフル | 森絵都 | 272ページ | 読みやすい | 命・家族・他者理解・生き直すこと | 感情が動く物語から感想を書きたい人 |
| 透明なルール | 佐藤いつ子 | 224ページ | 読みやすい | 同調圧力・SNS・学校・自分らしさ | 学校で周囲に合わせる苦しさについて書きたい人 |
| あと少し、もう少し | 瀬尾まいこ | 368ページ | 読みやすい | 友情・部活動・努力・チームワーク | 部活動や仲間と協力した経験を生かしたい人 |
| 虹いろ図書館のへびおとこ | 櫻井とりお | 304ページ | 読みやすい | いじめ・不登校・居場所・本との出会い | 学校生活や自分の居場所について考えたい人 |
| 博士の愛した数式 | 小川洋子 | 291ページ | 読みやすい | 記憶・家族・数学・人とのつながり | 優しい物語から人間関係について書きたい人 |
| 君の膵臓をたべたい | 住野よる | 328ページ | 読みやすい | 命・死・友情・生きること | 命や人との出会いについて考えたい人 |
| 怪物はささやく | パトリック・ネス | 254ページ | 標準 | 家族・喪失・本音・悲しみとの向き合い方 | 言葉にしにくい感情について書きたい人 |
| アーモンド | ソン・ウォンピョン | 296ページ | 読みやすい | 感情・共感・友情・周囲との違い | 人の気持ちを理解することについて考えたい人 |
| with you | 濱野京子 | 240ページ | 読みやすい | ヤングケアラー・家族・恋愛・社会問題 | 身近にある社会問題について書きたい人 |
| モモ | ミヒャエル・エンデ | 432ページ | 標準 | 時間・効率・社会・人の話を聞くこと | 時間の使い方や現代社会について考えたい人 |
| ナミヤ雑貨店の奇蹟 | 東野圭吾 | 416ページ | 標準 | 悩み・人生の選択・思いやり・人とのつながり | 長くても続きが気になる物語を読みたい人 |
| コンビニ人間 | 村田沙耶香 | 176ページ | 読みやすい | 普通とは何か・働き方・社会・周囲との違い | 短い小説から社会について考えたい人 |
| アルジャーノンに花束を | ダニエル・キイス | 464ページ | やや難しい | 知性・人間らしさ・孤独・幸せ | 人間の価値や本当の幸せについて深く考えたい人 |
| アウシュヴィッツの図書係 | アントニオ・G・イトゥルベ | 448ページ | やや難しい | 戦争・本・自由・人間の尊厳 | 戦争や本を読む意味について考えたい人 |
| 君たちはどう生きるか | 吉野源三郎 | 340ページ | やや難しい | 友情・いじめ・貧困・生き方 | 自分がどう生きたいかを掘り下げたい人 |
| 目の見えない人は世界をどう見ているのか | 伊藤亜紗 | 216ページ | 標準 | 感覚・障害・多様性・思い込み | 小説以外の本から新しい視点を得たい人 |
短い本を探しているなら、『センス・オブ・ワンダー』『コンビニ人間』『卵の緒』『きりこについて』が候補になります。
ただし、ページ数が少なくても、自分が興味を持てない内容では感想を広げにくくなります。
迷ったときは、表の「書きやすいテーマ」と「おすすめする人」を見ながら、自分の経験や関心に近い本を選んでみてください。
※ページ数は、現在入手しやすい文庫版・新書版などの代表的な版を基準にしています。版によってページ数が異なる場合があります。書誌情報は新潮社、KADOKAWA、河出書房新社、東京創元社、くもん出版、早川書房、集英社などの掲載内容を中心に確認しています。
時間がない中学生向け|短くて読みやすい本4選
夏休みの終わりが近づいている場合や、長い小説を読むのが苦手な場合は、文章が読みやすく、テーマをつかみやすい本から選ぶのがおすすめです。
ただし、ページ数が少ないだけでは、読書感想文を書きやすいとは限りません。
短い作品の中にも、自分の経験や考えと結びつけられる場面があるか、読後に考えたい問いが残るかを確認しましょう。

ここでは比較的短い時間で読み進められ、読書感想文のテーマも見つけやすい4冊を紹介します。
『西の魔女が死んだ』梨木香歩
- ページ数:226ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:自立・家族・死・成長
- おすすめする人:自分で決めることや家族との関係について書きたい人
『西の魔女が死んだ』の主人公は、中学校へ進学して間もなく学校へ行けなくなった少女まい。
まいは学校を離れ、自然に囲まれた家で暮らす祖母のもとでひと月ほど過ごすことになります。
イギリス人の祖母は、まいから「西の魔女」と呼ばれていました。
まいは祖母から魔女になるための修行を教わります。
しかし、修行の内容は不思議な魔法を使うことではありません。
早寝早起きをする。食事をきちんと取る。生活を整え、自分のことは自分で決める。
祖母との暮らしを通して、まいは少しずつ自分の心を立て直していきます。
登場人物が多くなく、祖母とまいの穏やかな生活を中心に進むため、長い小説が苦手な中学生でも読み進めやすい作品です。
読書感想文では、祖母がまいに教えた「自分で決めること」に注目してみましょう。
中学校では、友人関係や部活動、勉強など、周囲に合わせて行動する場面が少なくありません。
まいの変化と、自分で何かを決めた経験や、周囲の意見に流された経験を比べることで、自立について考える感想文にできます。
感想文では、次のような問いが使えます。
- 自分で決めることはなぜ難しいのか
- 学校へ行けなくなったまいに必要だったものは何か
- 祖母の教えの中で自分も実践したいものはあるか
- 周囲に合わせず自分で決めた経験はあるか

学校へ行けなくなった理由だけでなく、まいが生活を整えることでどのように変わったかに注目すると、自分の生活とも結びつけやすくなります。
>>『西の魔女が死んだ』を読んでみる
『卵の緒』瀬尾まいこ
- ページ数:224ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:家族・親子・血のつながり・愛情
- おすすめする人:家族とは何かを身近な視点から考えたい人
『卵の緒』には、家族をテーマにした二つの物語が収録されています。
表題作の主人公・育生は、自分が母親の本当の子どもではないのではないかと疑っていました。
母親にへその緒を見せてほしいと頼んでも、見せてもらえません。
代わりに母親が差し出したのは、育生を卵から産んだ証拠だという卵の殻でした。
母親の説明は変わっていますが、育生に注がれる愛情は、日々の言葉や行動から伝わってきます。
もう一つの物語「7’s blood」では、家庭の事情から一緒に暮らすことになった姉と弟の関係が描かれます。
初めは距離のあった二人が、生活を共にするなかで少しずつ家族になっていく物語です。
一つの物語を読み終えたところで区切れるため、まとまった読書時間を取りにくい人にも向いています。
読書感想文では、血のつながりだけで家族を説明できるのかを考えてみましょう。
自分の家庭について詳しく書かなくても、登場人物同士の関係を比較したり、誰かから大切にされていると感じた言葉や行動を取り上げたりできます。
感想文では、次のような問いから考えを広げられます。
- 家族を家族にするものは何か
- 育生はなぜ自分が捨て子だと思ったのか
- 血のつながりと一緒に過ごした時間では、どちらが大切だと思うか
- 言葉にされなくても愛情を感じた経験はあるか

二つの物語に共通する「家族」を探し、それぞれの関係の違いを比べると、内容に深みが出ます。
『きりこについて』西加奈子
- ページ数:224ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:外見・自分らしさ・自己肯定感・成長
- おすすめする人:見た目や周囲からの評価について書きたい人
『きりこについて』の主人公・きりこは、自分の容姿に強い悩みを抱えている女の子。
小学生のころ、同級生から外見について傷つく言葉を言われたきりこは、学校へ行かなくなり、自分の部屋に閉じこもるようになります。
そんなきりこのそばにいるのが、人の言葉を理解する賢い黒猫のラムセス二世です。
きりこは猫や周囲の人たちとの関わりを通して、美しさとは何か、自分の価値は誰が決めるのかを考えていきます。
難しい言葉が少なく、ユーモアのある場面も多いため、外見や自己肯定感という重いテーマを扱いながらも読み進めやすい作品です。
中学生になると、友人の言葉やSNSの反応など、周囲から自分がどう見られているかを気にすることがあります。
きりこの考え方がどのように変わったのかを追いながら、自分が人の評価を気にした経験と結びつけてみましょう。
感想文では、次のような問いが使えます。
- 美しいかどうかは誰が決めるものなのか
- 人から言われた言葉が自分の考えに影響するのはなぜか
- きりこが自分を受け入れられるようになったきっかけは何か
- 自分も周囲の評価を気にしすぎた経験はあるか
外見について書きにくい場合は、「人からの評価に合わせて自分を変える必要があるか」という視点から考えてもよいでしょう。

きりこに共感できた部分だけでなく、理解できなかった部分や考え方の違いも、立派な感想文の材料になります。
『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン
- ページ数:144ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:自然・好奇心・感性・身近な発見
- おすすめする人:短いノンフィクションや自然を扱った本から選びたい人
「センス・オブ・ワンダー」とは、自然の美しさや不思議さに驚き、心を動かす感性を表す言葉。
生物学者のレイチェル・カーソンは、雨の降る森や嵐のあとの海辺、夜の空など、身近な自然の中で感じられる驚きについて語っています。
本書が伝えているのは、自然に関する知識をたくさん覚えることだけが大切なのではないということ。
名前や仕組みを教える前に、子どもと一緒に驚き、感じ、疑問を持つことの大切さを伝えています。
写真も掲載されており、小説のように登場人物や出来事を覚える必要がないため、短い本を探している中学生にも挑戦しやすい一冊です。
ただし、物語ではないため、内容の要約だけで終わらないように注意しましょう。
読書感想文では、自分が自然に驚いた経験や、普段は見過ごしているものに注目します。
公園の植物、雨上がりのにおい、夕焼け、虫の声など、身近な体験から考えを広げられます。
感想文では、次のような問いが役立ちます。
- 最近、自然を見て驚いたり不思議に思ったりしたことはあるか
- 名前や知識を覚えることと、実際に感じることにはどのような違いがあるか
- 大人になると身近な不思議に気づきにくくなるのはなぜか
- 本を読んだあと、いつもの景色の見え方は変わったか
本を読む前後で同じ場所を観察し、気づいたことを比べるのもおすすめです。

ページ数が少ない分、自分が見つけた「不思議」を具体的に書くことが、内容を広げるポイントになります。
中学1年生の読書感想文におすすめ|共感しやすく書きやすい本4選
中学1年生には、学校生活や友人関係、家族、自分らしさなど、身近なテーマを扱った本がおすすめです。
登場人物とまったく同じ経験をしていなくても、「自分だったらどうするか」「似た気持ちになったことはあるか」と考えられる作品なら、自分の言葉で感想を書きやすくなります。

ここでは、物語を楽しみながら、自分の経験や気持ちと結びつけやすい4冊を紹介します。
『カラフル』森絵都
- ページ数:272ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:命・家族・他者理解・生き直すこと
- おすすめする人:感情が動く物語から感想を書きたい人
『カラフル』は、死んだ「ぼく」の魂が、もう一度人生に挑戦する物語。
生前に罪を犯したぼくは、輪廻の流れから外されていました。
しかし、天使の世界の抽選に当たり、再挑戦の機会を与えられます。
ぼくが入ることになったのは、自ら命を絶とうとした中学3年生・小林真の体。
真として生活しながら、自分が生前に犯した罪を思い出すことができれば、もう一度輪廻の流れへ戻れます。
最初のぼくには、真の家族や学校の人たちの欠点ばかりが見えていました。
しかし、真として過ごし、人と関わっていくなかで、家族や友人、自分自身にも一面だけでは説明できないさまざまな「色」があることに気づいていきます。
命や家族という重いテーマを扱っていますが、会話が多く、不思議な設定とユーモアを交えながら進むため、普段あまり本を読まない中学生でも読み進めやすい作品です。
読書感想文では、タイトルの「カラフル」が何を表しているのかを考えてみましょう。
人は、明るい部分だけでも、暗い部分だけでもありません。
真や家族への見方が物語の中でどのように変わったのかを追うことで、人を一つの印象だけで判断することについて考えられます。
感想文では、次のような問いが使えます。
- ぼくはなぜ真の周囲にいる人たちの欠点ばかり見ていたのか
- 人にはどのような「色」があると思うか
- 最初の印象と実際の人柄が違っていた経験はあるか
- 読む前と読んだあとで、自分や周囲の人への見方は変わったか

物語の結末だけでなく、ぼくが人を見るときの変化を順番に追うと、タイトルの意味を自分なりに考察できます。

『透明なルール』佐藤いつ子
- ページ数:224ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:同調圧力・SNS・学校・自分らしさ
- おすすめする人:学校で周囲に合わせる苦しさについて書きたい人
『透明なルール』の主人公は、中学2年生の優希。
クラス替えをきっかけに、優希はいわゆる「1軍」のグループへ入ります。
優希はグループから外れないように、勉強ができないふりをしたり、自分の好きなものを隠したりしていました。
SNSでも、クラスメイトの投稿に「いいね」を押すべきか悩みます。
誰かから命令されたわけではないのに、周囲からどう思われるかを気にして、自分の行動を決めてしまうのです。
そんな優希は、不登校気味の転校生や、周囲に流されないクラス委員と関わるなかで、自分を縛っている「透明なルール」の存在に気づいていきます。
教室内のグループやSNSなど身近な場面が描かれているため、登場人物の悩みを想像しやすく、中学1年生でも読み進めやすいでしょう。
読書感想文では、「透明なルールは誰がつくったのか」を考えてみましょう。
本当に周囲から求められていたことなのか、それとも優希が嫌われることを恐れて、自分でつくり出したものだったのか。
自分の学校や友人関係にも、言葉にされていない決まりがないかを振り返ると、具体的な感想につながります。
感想文では、次のような問いから考えられます。
- 優希はなぜ本当の自分を隠していたのか
- 誰も決めていないルールに従ってしまうのはなぜか
- 友人に合わせることと、自分を偽ることにはどのような違いがあるか
- 自分の周囲にも「透明なルール」があると思うか

「同調圧力は悪い」とまとめるだけでなく、周囲に合わせることで安心できる場合もあることまで考えると、説得力のある感想文になります。
『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ
- ページ数:368ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:友情・部活動・努力・チームワーク
- おすすめする人:部活動や仲間と協力した経験を生かしたい人
『あと少し、もう少し』は、中学校最後の駅伝大会に挑む6人の物語。
市野中学校の陸上部では、長距離走の指導に優れた顧問が別の学校へ異動してしまいます。
代わりに顧問になったのは、陸上経験のない美術教師でした。
部長の桝井は、駅伝大会へ出場するメンバーをそろえるため、陸上部以外の生徒にも声をかけます。
集まったのは、元いじめられっ子や周囲から不良と思われている生徒、頼みを断れない生徒、プライドの高い生徒など、性格も考え方も異なる6人。
それぞれが悩みや事情を抱えながら、一本のたすきをつなぎ、県大会出場を目指します。
文庫版は368ページと少し長めですが、物語は6人それぞれの視点から描かれます。
章ごとに語り手が変わるため区切りながら読めるうえ、同じチームを別の人物から見る面白さがあります。
読書感想文では、6人の中から最も共感できた人物を一人選ぶと書きやすくなります。
運動部に所属していなくても、文化部や委員会、学校行事など、誰かと一緒に目標へ向かった経験と結びつけられるでしょう。
感想文では、次のような問いが使えます。
- 6人の中で最も共感したのは誰か。その理由は何か
- 性格の違う人たちが一つのチームになるには何が必要か
- 個人の記録とチームの結果では、どちらが大切だと思うか
- 自分は集団の中でどのような役割を担うことが多いか
タイトルの「あと少し、もう少し」が、走る距離だけでなく、登場人物同士の心の距離を表していると考えることもできます。

自分と似ている人物だけでなく、苦手だと感じた人物を選び、なぜそう思ったのかを掘り下げる方法もあります。
『虹いろ図書館のへびおとこ』櫻井とりお
- ページ数:304ページ
- 読みやすさ:読みやすい
- 主なテーマ:いじめ・不登校・居場所・本との出会い
- おすすめする人:学校生活や自分の居場所について考えたい人
『虹いろ図書館のへびおとこ』の主人公は、小学6年生のほのか。
ほのかは、いじめをきっかけに学校へ通えなくなりました。
家族に心配をかけたくないほのかは、学校へ行くふりをして家を出て、古い図書館へ向かいます。
そこで出会ったのが、不思議な雰囲気を持つ司書です。
ほのかは図書館で本を読み、人と出会い、自分の気持ちを受け止めてもらうことで、少しずつ前へ進む力を取り戻していきます。
主人公は小学6年生ですが、中学校へ進学する直前の年齢です。
学校での人間関係や、新しい環境へ進む不安を抱える中学1年生も気持ちを重ねやすいでしょう。
読書感想文では、図書館がほのかにとってどのような場所だったのかを考えてみましょう。
図書館は、本を借りるだけの場所ではありません。
学校や家庭とは別に、自分を否定されずに過ごせる場所や、信頼できる大人と出会える場所にもなります。
感想文では、次のような問いから考えを広げられます。
- ほのかにとって図書館はどのような場所だったのか
- ほのかが悩みを周囲へ話せなかったのはなぜか
- 困っている人を支えるために、大人や友人には何ができるか
- 自分が安心して過ごせる場所はどこか
自分に図書館を利用した経験がなくても、部屋や公園、部活動など、落ち着ける場所と比較して書けます。

ほのかに「学校へ戻る勇気が生まれた」とだけまとめず、その前に安心できる場所や人との出会いが必要だったことに注目してみましょう。
中学2年生の読書感想文におすすめ|友情や成長を考えやすい本4選
中学2年生になると、友達との関係が複雑になり、自分と考え方の異なる人に戸惑う場面も増えてきます。
そのため、登場人物同士の関係や心の変化が丁寧に描かれた作品を選ぶと、自分の経験と結びつけながら感想文を書きやすくなります。
ここでは、友情や他者理解、心の成長について考えられる4冊を紹介します。

「登場人物がどのように変わったのか」に注目すると、あらすじだけではない深みのある感想文にできます。
『博士の愛した数式』小川洋子
- ページ数:291ページ
- 読みやすさ:★★★★☆
- 主なテーマ:記憶・家族・数学・人とのつながり
- おすすめする人:温かい人間関係を描いた物語が好きな人
家政婦として働く「私」が派遣されたのは、交通事故の影響で新しい記憶が80分しか続かない数学者の家でした。
博士は「私」の10歳の息子を、その頭の形から「ルート」と呼び、数字や野球を通して少しずつ親しくなっていきます。
博士の記憶から二人の存在が消えるたびに、関係は何度も最初から始まります。
それでも三人の間には、一般的な家族とは異なる温かなつながりが生まれていきます。
数学に関する話が登場しますが、難しい計算を理解する必要はありません。
数字の性質が人間関係と結びつけて説明されるため、数学が苦手な中学生でも物語として読み進められます。
読書感想文では、単に「博士と家政婦たちの交流に感動した」とまとめるのではなく、記憶と人間関係のつながりに注目してみましょう。
博士は二人との出来事を忘れてしまいますが、一緒に過ごした時間がすべて無意味になるわけではありません。そこから「人とつながるために、同じ思い出を覚えている必要はあるのか」と考えられます。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 記憶を失っても、人とのつながりは残ると思うか
- 博士が数字を使って相手を理解しようとするのはなぜか
- 血のつながりがなくても家族になれると思うか
- 何度忘れられても博士と関わり続けた「私」をどう思うか
自分が誰かに何かを教えてもらった経験や、言葉以外のものを通して人と親しくなった経験と結びつけるのもおすすめです。

記憶が残るかどうかではなく、一緒に過ごす瞬間そのものに意味があるのではないかと考えさせてくれる作品です。
『君の膵臓をたべたい』住野よる
- ページ数:328ページ
- 読みやすさ:★★★★☆
- 主なテーマ:生と死・友情・時間・人との関わり
- おすすめする人:同世代の登場人物に共感しながら読みたい人
他人との関わりを避けて過ごしていた高校生の「僕」は、病院で「共病文庫」という日記を偶然見つけます。
その日記を書いたのは、明るく人気者のクラスメイト・山内桜良でした。
そこには、彼女が膵臓の病気を抱え、残された時間が少ないことが記されていました。
秘密を知った「僕」と桜良は、一緒に出かけたり話をしたりしながら、少しずつ特別な関係を築いていきます。
会話が多く、文章も比較的分かりやすいため、300ページを超える作品のなかでは読み進めやすい一冊です。
ただし、病気や死が物語の中心にあるため、読む人によっては重く感じる可能性があります。
読書感想文では、悲しい結末や感動した場面だけを書くのではなく、桜良と出会う前後で「僕」がどのように変わったのかを比べてみましょう。
最初の「僕」は他人に関心を持たず、一人でいることを選んでいました。
しかし、桜良と過ごすなかで、人と関わることや自分の気持ちを伝えることの意味を知っていきます。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 桜良はなぜ「僕」に自分の秘密を明かしたのか
- 桜良と出会ったことで「僕」はどのように変わったか
- 残された時間を知ることは、生き方を変えると思うか
- 自分にとって「生きる」とはどのようなことか
「限られた時間を大切にしよう」という結論だけで終わらせず、誰かとの出会いが自分の考え方を変えることについて掘り下げると、オリジナルの感想文になります。

桜良の生き方だけでなく、彼女と出会った「僕」の変化を追うことが、感想文を深めるポイントです。
『怪物はささやく』パトリック・ネス
- ページ数:254ページ
- 読みやすさ:★★★☆☆
- 主なテーマ:家族・喪失・真実・感情との向き合い方
- おすすめする人:少し不思議で考察できる物語を読みたい人
少年コナーは、病気の母親と暮らしながら、学校では孤立した日々を送っていました。
ある真夜中、墓地に立つイチイの木が怪物となってコナーの前に現れます。
怪物はコナーに三つの物語を聞かせ、そのあとでコナー自身が四つ目の物語として「真実」を話さなければならないと告げます。
コナーが隠している真実とは何なのか。
怪物との対話を通して、本人も認めたくなかった複雑な感情が少しずつ明らかになります。
ページ数は比較的少なめですが、海外作品の翻訳であり、怪物が語る物語には象徴的な表現が含まれています。
善い人と悪い人を単純に分けられない物語が続くため、「怪物の話にはどのような意味があるのか」と立ち止まって考えながら読むのがおすすめです。
読書感想文では、怪物の正体を考察するだけでなく、コナーが自分の本当の感情を認められなかった理由に注目してみましょう。
人は、相手を大切に思っていても、苦しい状況から逃げたいと考えてしまうことがあります。矛盾した感情を抱くことは悪いことなのかという問いが、感想文の中心になります。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 怪物はコナーにとってどのような存在だったのか
- 怪物が単純な教訓では終わらない物語を聞かせたのはなぜか
- コナーはなぜ自分の本当の気持ちを認められなかったのか
- 心の中で考えたことと、実際に行動することは同じなのか
自分のつらい経験を無理に書く必要はありません。「矛盾した気持ちを持つこと」や「本音を認める難しさ」について考えるだけでも、十分に深い感想文を書けます。

心の中に浮かんだ感情だけで、その人の優しさや愛情まで否定されるわけではないと気づかせてくれる物語です。
『アーモンド』ソン・ウォンピョン
- ページ数:296ページ
- 読みやすさ:★★★★☆
- 主なテーマ:感情・共感・友情・個性
- おすすめする人:自分と異なる相手を理解することについて考えたい人
主人公のユンジェは、脳にある扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖などの感情を感じ取ったり表したりすることが苦手な少年です。
母親は、ユンジェが周囲から「普通の子」に見えるように、表情や受け答えの方法を教えてきました。
ある事件をきっかけに一人になったユンジェは、激しい感情を抱え、周囲に乱暴な態度を取る少年ゴニと出会います。
感情が乏しいように見えるユンジェと、感情をうまく抑えられないゴニ。正反対に見える二人の関係を通して、人を理解することや愛することの意味が描かれます。
韓国の小説ですが、文章は簡潔で物語の展開も分かりやすいため、翻訳作品をあまり読まない中学生でも読み進めやすいでしょう。
ユンジェの視点で淡々と語られるからこそ、登場人物の行動や小さな変化について、自分なりに考えられる作品です。
読書感想文では、「感情は大切だと思った」とまとめるだけでなく、ユンジェとゴニの違いを比べてみましょう。
感情を表に出せないユンジェと、強すぎる感情を暴力として表してしまうゴニのどちらが、より他人を理解できていないのでしょうか。この問いから、人間らしさや共感について考察できます。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 感情をうまく表せない人は、他人を思いやれないのか
- 共感する力は、生まれつきのものなのか
- ユンジェとゴニはお互いにどのような影響を与えたか
- 周囲と違う人を「普通ではない」と決めるのは正しいか
自分と性格や考え方が違う友達と関わった経験があれば、ユンジェとゴニの関係に重ねて書くこともできます。

感情の表し方だけで相手を判断せず、その人の行動や背景まで見ようとすることの大切さを考えられる一冊です。
中学3年生の読書感想文におすすめ|社会や生き方を考えやすい本4選
中学3年生になると、進路や将来について考える機会が増え、自分がどのように生きたいのかを意識し始めます。
読書感想文でも、登場人物への共感だけでなく、作品で描かれている社会の問題や価値観について自分の意見を書くと、内容を深められます。
ここでは、社会との関わりや時間の使い方、人生の選択、「普通」の意味について考えられる4冊を紹介します。

作品が投げかける問題に対して「自分ならどう考えるか」を書くことが、中学3年生らしい感想文につながります。
『with you』濱野京子
- ページ数:240ページ
- 読みやすさ:★★★★★
- 主なテーマ:ヤングケアラー・家族・支援・人とのつながり
- おすすめする人:同世代が抱える社会問題について考えたい人
中学3年生の悠人は、高校受験を控えながらも、優秀な兄と自分を比べて存在意義を見つけられずにいました。
ある夜、ランニング中に立ち寄った公園で、ブランコに座っている少女・朱音と出会います。
朱音は病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事を一人で抱える「ヤングケアラー」でした。
その事情を知った悠人は、朱音の力になりたいと考えるようになります。
主人公が中学3年生なので、受験や家族との関係などを自分の生活と重ねながら読めます。
文章も分かりやすく、240ページと長すぎないため、社会問題を扱った作品を初めて読む人にもおすすめです。
読書感想文では、ヤングケアラーについて調べたことを並べるだけでなく、悠人が朱音を助けようとした行動について考えてみましょう。
誰かを心配していても、本人の気持ちを理解しないまま行動すれば、望んでいる支援にならないことがあります。
「助けたい」という気持ちだけで十分なのかを考えると、感想文を深められます。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 朱音はなぜ周囲に助けを求められなかったのか
- 悠人の行動は朱音が本当に望んでいたものだったか
- 家族の世話を子どもが背負うことをどう思うか
- ヤングケアラーを支えるために周囲や社会は何ができるか
困っている友達にどこまで声をかけるべきか迷った経験や、誰かに助けてもらった経験と結びつけることもできます。

「助ける側」と「助けられる側」の両方の気持ちを考えると、社会問題の説明だけではない感想文になります。
『モモ』ミヒャエル・エンデ
- ページ数:432ページ
- 読みやすさ:★★★☆☆
- 主なテーマ:時間・効率・豊かさ・人の話を聞くこと
- おすすめする人:身近な生活と社会の仕組みを結びつけて考えたい人
町外れにある円形劇場の跡に、モモという不思議な少女が住み着きます。
モモには、人の話をじっくり聞く特別な力がありました。
町の人たちはモモに話を聞いてもらうことで、自分の考えを見つけたり、仲直りしたりできるようになります。
ところが、町に「灰色の男たち」が現れ、人々に時間を節約するよう勧め始めます。
人々は無駄な時間を減らそうと忙しく働くようになりますが、次第に会話や遊びを楽しむ余裕を失っていきます。
奪われた時間を取り戻すため、モモは灰色の男たちに立ち向かいます。
432ページあるため、今回紹介する4冊のなかでは読むのに時間がかかります。
一方で、物語は冒険ファンタジーとして展開されるため、長編作品が好きな人であれば楽しみながら読み進められるでしょう。
読書感想文では、「時間を大切にしよう」という結論だけで終わらせず、時間を節約しているはずの人々が、なぜ豊かさを失ってしまったのかを考えてみましょう。
勉強や予定を効率よく進めることは大切ですが、友達との会話や何もしない時間まで無駄とは限りません。
効率と心の豊かさの関係を、自分の生活に置き換えて書けます。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 町の人たちはなぜ灰色の男たちの話を信じたのか
- 時間は本当に貯めたり節約したりできるものなのか
- 一見すると無駄に見えても必要な時間には何があるか
- モモが人の話を聞くだけで相手を変えられたのはなぜか
勉強や習い事、スマートフォンなどに使っている時間を振り返り、自分が大切にしたい時間について書くのもおすすめです。

「時間を無駄にしないこと」と「自分らしく生きること」は同じなのかを考えられる作品です。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾
- ページ数:416ページ
- 読みやすさ:★★★★☆
- 主なテーマ:悩み・選択・善意・人とのつながり
- おすすめする人:複数の物語がつながる作品を楽しみたい人
ある事情から逃げていた三人の若者は、閉店した「ナミヤ雑貨店」に身を隠します。
その雑貨店では、かつて店主が人々の悩み相談に答えていました。誰もいないはずの店内に、突然一通の相談の手紙が届きます。
手紙は過去から送られてきたものでした。
三人は戸惑いながらも返事を書き、相談者の人生に関わっていきます。
一見すると無関係に見える複数の相談や登場人物が少しずつ結びつき、雑貨店を中心とした大きな物語になっていきます。
400ページを超える長編ですが、悩み相談ごとに物語が分かれているため、区切りながら読めます。
手紙がどの時代から届いているのか、登場人物同士がどのようにつながるのかという謎もあり、先が気になりやすい作品です。
読書感想文では、相談者がどのような決断をしたのかだけでなく、三人がなぜ見知らぬ人の相談に答え続けたのかに注目してみましょう。
自分の書いた言葉が相手の人生に影響する可能性があるとき、どこまで責任を持つべきなのでしょうか。
誰かに助言することの難しさについて考えられます。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 三人はなぜ見知らぬ相談者に返事を書いたのか
- 人からの助言によって人生の選択は変わると思うか
- 相手のためを思って伝えた言葉が正しいとは限らないのではないか
- 誰かの相談に答えるときに大切なことは何か
友達から相談された経験や、自分が誰かの言葉に背中を押された経験と結びつけると、具体的な感想文を書けます。

相談に正解を出すことよりも、相手の悩みに真剣に向き合うことの意味を考えられる作品です。
『コンビニ人間』村田沙耶香
- ページ数:176ページ
- 読みやすさ:★★★★☆
- 主なテーマ:普通・仕事・個性・社会の価値観
- おすすめする人:進路や自分らしい生き方について考えたい人
古倉恵子は、子どもの頃から周囲になじめず、自分がどのように振る舞えばよいのか分からずにいました。
大学時代にコンビニで働き始めた恵子は、店員としての話し方や動き方を身につけることで、初めて社会の一員になれたと感じます。
36歳になってもコンビニでアルバイトを続ける恵子に対して、周囲の人たちは就職や結婚をするよう求めます。
世間から見た「普通の生き方」と、自分が心地よいと感じる生き方の間で、恵子は自分の居場所を探していきます。
176ページと短く、文章も簡潔なので、時間が限られている中学3年生にも読みやすい作品です。
ただし、主人公の考え方や行動には独特な部分があります。
恵子に共感できるかどうかだけで判断せず、なぜそのように考えるのかを読み取る必要があります。
読書感想文では、「自分らしく生きることが大切」とまとめるだけでなく、周囲が求める普通に合わせることの利点と苦しさの両方を考えてみましょう。
社会に合わせることで生きやすくなる場合もありますが、合わせるために自分の希望を失ってしまう可能性もあります。
進路を考え始める中学3年生だからこそ、自分の将来と結びつけて書けるテーマです。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 恵子にとってコンビニはどのような場所だったのか
- 周囲の人が考える「普通」は本当に正しいのか
- 社会に合わせることと自分らしく生きることは両立できるか
- 仕事や生き方は誰の基準で選ぶべきなのか
進路について周囲から期待された経験や、自分が「普通と違うかもしれない」と感じた経験があれば、作品と結びつけられます。

恵子の生き方を正しいか間違っているかで判断せず、自分にとっての「普通」を問い直すことが感想文の軸になります。
読書好きの中学生向け|考察を深めやすい挑戦作品4選
読書に慣れていて、読み応えのある作品に挑戦したい中学生には、簡単に答えを出せない問いが残る本がおすすめです。
ここで紹介する4冊は、ページ数が多かったり、歴史や思想に関する知識が必要だったりするため、これまでの作品よりも難易度は高めです。
その分、知性と幸福、人間の尊厳、よりよい生き方、障害の捉え方などを考察でき、内容の濃い読書感想文を書けます。

すべてを理解しようとせず、最も気になった問いを一つ選んで考えることが、難しい本を感想文につなげるコツです。
『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス
- ページ数:464ページ
- 読みやすさ:★★★☆☆
- 主なテーマ:知性・幸福・人間の尊厳・科学と倫理
- おすすめする人:人間にとって本当の賢さとは何かを考えたい人
知的障害のある32歳のチャーリイ・ゴードンは、パン屋で働きながら読み書きを学び、賢くなることを強く願っていました。
ある日、大学で研究されている知能を高める手術を受ける機会が訪れます。
同じ手術を受けた白ネズミのアルジャーノンと検査を続けるなかで、チャーリイの知能は急速に向上していきます。
しかし、知識が増えたことで、それまで気づかなかった周囲の悪意や自分の過去も理解するようになります。
念願だった知性を手に入れたチャーリイは、同時に深い孤独や苦しみを経験していきます。
物語は、チャーリイが書く「経過報告」という形式で進みます。
最初は誤字が多く幼い印象だった文章が、知能の向上に合わせて複雑に変化していくため、文章そのものからチャーリイの変化を感じ取れる作品です。
ただし、後半になると科学や心理に関する表現が増え、内容も抽象的になります。
分からない部分があっても止まりすぎず、チャーリイの心や人間関係の変化を追いながら読みましょう。
読書感想文では、「賢くなったのに幸せになれなかった」とまとめるだけでなく、知性と人間の価値は同じなのかを考えてみてください。
手術の前後で周囲の態度が変わったとしても、チャーリイという人間そのものが別人になったわけではありません。人の価値を能力で判断することについて、自分の意見を書けます。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- チャーリイはなぜ賢くなることを強く望んだのか
- 知識や知能が増えれば、人は幸せになれるのか
- 周囲の人々はチャーリイを一人の人間として尊重していたか
- 科学の発展によってできることは、すべて実行してよいのか
勉強ができる人を「頭のよい人」と考えてしまった経験や、能力だけでは人の価値を決められないと感じた出来事と結びつけることもできます。

手術による知能の変化だけでなく、周囲の人がチャーリイをどのように扱ったかに注目すると、人間の尊厳について考察できます。
『アウシュヴィッツの図書係』アントニオ・G・イトゥルベ
- ページ数:448ページ
- 読みやすさ:★★☆☆☆
- 主なテーマ:戦争・差別・人間の尊厳・本が持つ力
- おすすめする人:歴史的事実をもとにした重厚な物語を読みたい人
第二次世界大戦中、14歳の少女ディタは、家族とともにアウシュヴィッツ強制収容所へ送られます。
人間らしい生活や自由が奪われた収容所のなかには、ひそかに子どもたちへ授業を行う場所がありました。
そこに存在したのは、わずか8冊の本です。
本の所持が禁じられているなか、ディタは命がけで本を隠し、守る図書係を任されます。
本を持っていることが知られれば命の危険があります。
それでもディタは、本が人の心を自由にし、収容所の外にある世界を思い出させてくれるものだと信じて役目を果たします。
実在した人物への取材をもとに書かれた物語で、戦争やホロコーストについて考えられる作品です。
ページ数が多いうえ、収容所での差別や暴力、死に関する重い描写もあります。
歴史的な背景を簡単に調べながら、時間に余裕を持って読むのがおすすめです。
読書感想文では、戦争の悲惨さを説明するだけでなく、なぜナチスが収容者に本を持たせたくなかったのかを考えてみましょう。
本は食料のように命を直接支えるものではありません。
しかし、考える力や想像する自由を守ることで、人が人間らしく生きるための支えになります。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- ディタはなぜ命の危険を冒してまで本を守ったのか
- 本を読むことは収容所の人々にどのような力を与えたか
- 自由を奪う側にとって、本や教育が危険なのはなぜか
- 過去の悲劇を現代の私たちが学び続ける意味は何か
「戦争は二度としてはいけない」という結論に加えて、差別や暴力を生み出さないために、自分たちは何を知り、どのように考える必要があるのかまで書くと感想文が深まります。

絶望的な状況で本を守る行為には、知識だけでなく、人間らしく考える自由を守る意味がありました。
『君たちはどう生きるか』吉野源三郎
- ページ数:340ページ
- 読みやすさ:★★★☆☆
- 主なテーマ:生き方・勇気・友情・社会とのつながり
- おすすめする人:自分の考え方や行動をじっくり見直したい人
主人公は、「コペル君」というあだ名で呼ばれる15歳の本田潤一です。
コペル君は学校生活や友達との関係で経験した出来事を、親しくしている叔父さんに話します。
叔父さんは、コペル君が自分で答えを見つけられるように、考えたことをノートに書き残します。
貧困やいじめ、友情、学問、社会を支える人々など、さまざまな問題に触れるなかで、コペル君は自分がどのような人間として生きたいのかを考えていきます。
物語の部分と、叔父さんが書いたノートの部分が交互に登場します。
1937年に発表された作品なので、現在とは異なる言葉や社会状況も描かれています。
叔父さんのノートには哲学的な内容もあり、じっくり考えながら読む必要があります。
なお、宮崎駿監督による同名の映画とは異なる物語です。
読書感想文では、吉野源三郎が書いた原作の内容についてまとめましょう。
感想文では、叔父さんの教えをそのまま正解として書くのではなく、コペル君が失敗した場面や悩んだ過程に注目してみてください。
正しいことが分かっていても、恐怖や周囲の目によって行動できないことがあります。そのときに自分の弱さを認め、どのように次の行動へつなげるかが作品の重要な問いです。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- コペル君は失敗を経験して何に気づいたのか
- 正しいと分かっていることを行動に移すには何が必要か
- 叔父さんが答えを直接教えず、ノートに考えを書いたのはなぜか
- 自分にとって立派な人とはどのような人か
勇気を出せなかった経験や、失敗したあとに謝った経験、自分の行動を後悔して考え直した経験と結びつけると、自分だけの感想文になります。

立派な生き方を知ることよりも、失敗した自分と向き合い、もう一度行動しようとすることの大切さを考えられる作品です。
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』伊藤亜紗
- ページ数:216ページ
- 読みやすさ:★★★★☆
- 主なテーマ:視覚障害・身体・感覚・多様な世界の捉え方
- おすすめする人:小説以外の本で読書感想文を書きたい人
私たちは、普段多くの情報を視覚から受け取っています。
では、目の見えない人は、視覚を使わずに空間や物の形、周囲の状況をどのように捉えているのでしょうか。
本書では、視覚障害のある人への聞き取りや著者自身の体験をもとに、空間認識や感覚の使い方、体の動かし方、言葉によるコミュニケーションなどを紹介しています。
見える人にとっての当たり前が、見えない人にも同じとは限りません。
異なる方法で世界を捉える人について知ることで、私たちが普段行っている「見る」という行為も問い直せます。
小説ではなく、視覚障害者の世界の捉え方を考察した新書です。
聞き取りをもとにした具体的な例が多く、216ページと短めなので、中学生でも比較的読み進めやすいでしょう。
ただし、「目が見えない代わりに、ほかの感覚が特別に優れている」と単純に説明する本ではありません。
使える感覚や言葉、身体を組み合わせながら、見える人とは異なる方法で世界を捉えていることが紹介されています。
読書感想文では、視覚障害のある人を「大変な人」「助けてあげる人」と一方的に捉えず、見える人とは違う世界の理解方法を持つ人として考えてみましょう。
感想文を書く前に、次の問いについて考えてみてください。
- 「見る」とは目から情報を得ることだけなのか
- 見える人の当たり前を基準にすると、何を見落としてしまうか
- 障害は本人の身体だけにあるものなのか
- 異なる世界の捉え方を知ることで社会はどう変わるか
目を閉じて自分の部屋を歩いてみる、手で物の形を確かめる、音だけで周囲を想像するといった体験をしたうえで、その結果を感想文に加える方法もあります。
ただし、安全な場所で行い、短い体験だけで視覚障害者の生活を理解したと決めつけないことが大切です。

見えない人に何が不足しているかではなく、見える人とはどのように世界の捉え方が違うのかに注目できる一冊です。
中学生が読書感想文を書きやすい本の選び方
読書感想文を書きやすい本とは、あらすじが分かりやすい本や有名な本だけではありません。
最後まで無理なく読めて、自分の経験や考えと結びつけられる本を選ぶことが大切です。

ここでは、中学生が読書感想文の本を選ぶときに確認したい3つのポイントを解説します。
無理なく読み切れる長さと難易度で選ぶ
まずは、提出日までに最後まで読める本を選びましょう。
読書感想文では、ページ数の多い本を選んだからといって、高く評価されるわけではありません。
短い本でも、感じたことや考えたことを掘り下げれば、内容の濃い感想文を書けます。
ページ数の目安は、次のとおりです。
- 読書が苦手・時間がない人:200ページ程度まで
- 普段から本を読む人:200~300ページ程度
- 長編が好きな人:300ページ以上
ただし、読みやすさはページ数だけでは決まりません。
翻訳作品や昔の作品、専門用語が多い本は、短くても難しく感じることがあります。
反対に、会話が多く物語の展開が分かりやすい作品なら、300ページを超えていても読み進めやすいでしょう。
できれば購入前に冒頭を試し読みし、文章の意味を無理なく理解できるか確認してください。
最初の数ページを読んでも内容がほとんど頭に入らない場合は、別の本を選ぶのも一つの方法です。

背伸びをして難しい本を選ぶよりも、最後まで読んで自分の考えを持てる本を選ぶことが大切です。
自分の経験や興味と重なるテーマから選ぶ
自分の経験や興味と重なる作品は、読書感想文に書く内容を見つけやすくなります。
たとえば、次のようなテーマから選んでみましょう。
- 友達との関係に悩んだことがある:友情や人間関係
- 部活動に取り組んでいる:努力や仲間との成長
- 家族について考えたい:親子関係や家族のつながり
- 進路に迷っている:将来や自分らしい生き方
- 社会の問題に興味がある:戦争・差別・貧困・障害
- 読書が好き:幸福・人間の尊厳・科学と倫理
作品と同じ出来事を経験している必要はありません。
たとえば、主人公のような大きな挫折を経験していなくても、「失敗するのが怖かった」「友達に本音を言えなかった」といった感情は、自分の経験と結びつけられます。
自分の体験と重なる部分がない場合は、以前から興味を持っていたことや、学校の授業、ニュースで知った問題を扱う本を選ぶ方法もあります。
読書感想文では、本の内容と自分の考えを行き来しながら書くことが重要。
身近に感じられるテーマを選ぶことで、あらすじだけではない感想文になります。

作品と同じ経験がなくても、登場人物の気持ちに似た感情を抱いたことがあれば、自分の体験として結びつけられます。
読み終わったあとに自分なりの問いが残る本を選ぶ
読書感想文を書きやすいのは、読み終わったあとに「なぜだろう」「自分ならどうするだろう」と考えられる本です。
答えが分かりやすい作品よりも、登場人物の行動に疑問や違和感が残る作品のほうが、自分なりの意見を書きやすい場合があります。
本を読みながら、次のような問いを探してみましょう。
- 主人公はなぜその行動を選んだのか
- 自分が同じ立場だったらどうするか
- 主人公の考えに賛成できるか
- 登場人物は物語の前後でどのように変わったか
- 作品で描かれた問題は自分の生活や社会にもあるか
すべての問いに答える必要はありません。
最も気になった問いを一つ選び、作品中の出来事や自分の経験を使って考えを深めれば、感想文の中心が決まります。
本を選ぶ段階で、紹介文やあらすじを読んだときに「自分ならどうするだろう」と感じられるか確認するのもおすすめです。

読み終わった瞬間に答えが出る本よりも、しばらく考え続けたくなる本のほうが、自分の言葉で感想文を書きやすくなります。
中学生の読書感想文に関するよくある質問
中学生の読書感想文では、本の長さや種類、選び方について迷うことがあります。
ここでは、読書感想文の本を選ぶときによくある疑問に回答します。
読書感想文で短い本を選んでも大丈夫?
学校からページ数の指定がなければ、短い本を選んでも問題ありません。
読書感想文で大切なのは、本の長さではなく、読んで感じたことや考えたことを自分の言葉で書くことです。
100~200ページ程度の短い本でも、印象に残った場面や登場人物の変化、自分の経験とのつながりを掘り下げれば、内容の濃い感想文になります。
短編小説を選ぶ場合は、あらすじだけで文章が終わらないように注意しましょう。

「なぜこの行動が気になったのか」「自分ならどうするか」まで考えることが大切です。
小説以外の本でも読書感想文は書ける?
学校から本の種類を指定されていなければ、ノンフィクションや伝記、科学、歴史に関する本でも読書感想文を書けます。
小説以外の本を選ぶ場合は、書かれていた情報を要約するだけで終わらせないことがポイントです。
- 読む前とあとで考えがどう変わったか
- 最も驚いた事実は何か
- 著者の意見に賛成できるか
- 学んだことを今後どう生かしたいか
このような内容を加えると、自分の考えが伝わる感想文になります。

ただし、漫画や雑誌、図鑑などは対象外になる場合があります。
選ぶ前に学校から配布された案内を確認しましょう。
自分の学年向けではない本を選んでもいい?
学校から学年の指定がなければ、ほかの学年向けとして紹介されている本を選んでも問題ありません。
本に示されている対象学年は、選ぶときの目安です。
中学1年生が中学3年生向けの本を選んだり、中学3年生が読みやすい児童文学を選んだりしても構いません。
大切なのは、自分が無理なく読み切れて、内容について考えられることです。
難しすぎる本を選ぶと内容を理解するだけで時間がかかり、簡単すぎる本では考えを広げにくい場合があります。

試し読みをして、自分に合った難易度か確かめてから選びましょう。
読み始めた本を途中で変更してもいい?
学校から変更を禁止されていなければ、読み始めた本を途中で変更しても問題ありません。
読んでも内容がほとんど理解できない場合や、興味を持てず感想が思い浮かばない場合は、無理に読み続けるよりも別の本を選んだほうが書きやすくなります。
ただし、何度も変更すると読む時間がなくなってしまいます。
変更するか迷ったときは、次の点を確認してください。
- 提出日までに別の本を読み終えられるか
- 現在の本に気になる場面やテーマがあるか
- 難しいだけなのか、内容そのものに興味を持てないのか

本を選び直す場合は、短くて読みやすく、自分の興味に近い作品を選ぶのがおすすめです。
課題図書以外の本を選んでもいい?
学校から課題図書を選ぶように指定されていなければ、課題図書以外の本でも読書感想文を書けます。
課題図書は、年代に合ったテーマや難易度を考えて選ばれているため、どの本を読めばよいか迷っている人には便利です。
一方で、興味を持てる作品が見つからない場合は、自由図書から選んだほうが、自分らしい感想を書きやすいこともあります。
学校内の課題なのか、読書感想文コンクールへ応募するのかによってもルールが異なります。
本を購入したり読み始めたりする前に、学校から配布された応募要項を確認してください。

本選びに迷ったときは、決まりを確認したうえで「読み切れるか」「自分と結びつけられるか」「考えたい問いがあるか」の3点から判断しましょう。
まとめ|中学生の読書感想文は自分の言葉で書ける本を選ぼう
中学生の読書感想文では、有名な本や難しい本を選ぶことよりも、自分の経験や興味と結びつけて考えられる本を選ぶことが大切です。
本選びに迷ったときは、次の3点を確認してみましょう。
- 提出日までに無理なく読み切れるか
- 自分の経験や興味と重なるテーマがあるか
- 読み終わったあとに考えたい問いが残るか
短い本や読みやすい本でも、印象に残った場面をもとに「なぜ気になったのか」「自分ならどうするか」まで掘り下げれば、内容の濃い感想文を書けます。
反対に、評価を意識して難しい作品を選んでも、内容を理解できなければ自分の考えをまとめるのが難しくなります。
まずは早見表や学年別の紹介から、気になる本を一冊選んでみてください。
読んでいる途中で感じた疑問や心が動いた場面をメモしておくと、感想文を書くときの材料になります。

自分に合った本を選び、その本を読んだからこそ生まれた考えを、自分の言葉で伝えてみましょう。


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