「伝わる」がわかる!小学生の読書感想文の書き方サポートガイド

読書感想文で伝わる書き方を解説するサムネイル画像。 書き方のヒント

「読書感想文って、どう書けば“伝わる”の?」

子どもが思ったことをうまく言葉にできなかったり、せっかく書いても「よくわからない」と言われて落ち込んでしまったり…。そんな経験、ありませんか?

本記事では、読書感想文のわかりやすい書き方を、小学生のお子さんをサポートする保護者の方向けにわかりやすくまとめました。

「思っていることはあるのに、伝えるのがむずかしい」──そんな子どもの悩みに寄り添いながら、親子で感想文を書く力を育てていくステップを、具体的にご紹介します。

「うまく書く」よりも、「伝わる」感想文を。

書くことが苦手な子も安心して取り組めるヒントがきっと見つかります。

そもそも読書感想文で「伝わらない」原因は?

「一生懸命書いたのに、何を言いたいのかよくわからない」
「読み返しても、ただのあらすじみたい…」

これは、読書感想文でよく起こる“伝わらない問題”です。

でもそれは、子どもに文章力がないからではありません。

伝わらない理由には、年齢特有の思考のクセや親の関わり方の影響があることも多いのです。

ここでは、「なぜ子どもの感想文が伝わりにくくなるのか」その原因を3つに分けて解説します。

子どもが「思ったこと」をうまく言葉にできない理由

小学生は、読書中に「悲しい」「ドキドキした」「うれしかった」といった感情をしっかり感じています。

でも、その「気持ち」を具体的な言葉に変える力はまだ育っている途中です。

たとえば、大人なら

「主人公が失敗してしまったシーンに共感した。私も同じような経験があるから」

と表現できますが、子どもはそれを

「なんかかわいそうだった」
「ドキドキした」

としか言えないことがあります。

これは語彙力や構成力の問題ではなく、「感情と言葉をつなぐ経験」が足りないだけ。

だからこそ、保護者がその気持ちをじっくり引き出すような関わり方が大切になります。

よくある“わかりにくい”感想文の特徴とは?

伝わらない感想文には、いくつかの共通点があります。

たとえば

伝わらない感想文の共通点

内容の要約ばかりで終わっている
 →「◯◯が××して、□□になった」という“あらすじ感想文”になりがち。

・気持ちが書いてあっても、理由がない
 →「悲しかった」「すごいと思った」だけで、なぜそう思ったのかが抜けている。

・話の展開に飛びがあって読みづらい
 →前後のつながりがないと、読み手は「どうして?」と混乱してしまう。

これらは、子どもが書く順番や考え方を整理できていないサインでもあります。

ただし、これも「ちゃんと教えれば改善できること」。

親子で一緒に、「どう思った?」「なんでそう思ったの?」と会話するだけで、ぐっと文章が伝わるようになります。

親が先回りしてしまうと、余計に書けなくなることも

「◯◯って書けばいいんじゃない?」
「この部分はこう直した方がいいよ」

ついつい、子どもの言葉が“遠回り”に見えて、口を出したくなることはありませんか?

でも実はこれが、子どもにとって「書けない」プレッシャーの原因になることも。

大人からすれば「アドバイス」のつもりでも、子どもにはこう聞こえてしまうことがあります。

「自分の考えは正しくないのかな?」
「うまく書かないとダメなんだ…」
「だったら、もうママが書いてよ…」

子どもが「自分の言葉」に自信を持てなくなると、伝える意欲そのものが下がってしまいます。

大事なのは、「正しく書かせる」ことではなく、子どもが自分の気持ちを伝えようとする姿勢を尊重すること。

そのうえで、あとから一緒に読み返しながら「もう少し詳しく教えてくれる?」と促すだけで、子どもは自然と“伝わる工夫”を学んでいきます。

「伝わる感想文」ってどんなもの?

「伝わる感想文を書いてほしい」と言っても、何をもって「伝わる」と言えるのか、実は曖昧なままになっていることが多いです。

そもそも「伝わる文章」とは、書いた本人の感じたことや考えたことが読み手に自然にイメージできること

決して、上手な言葉やかっこいい表現である必要はありません。

ここでは、子どもが書くべき“等身大の感想文”が、どうすれば「伝わる」ものになるのかを、ポイントごとに整理します。

正解よりも「気持ち」が伝わることが大切

感想文は「正しい答えを書くもの」ではありません。

たとえ感想が少し的外れに見えたとしても、その子が本当に感じたことであれば、それが一番価値のある内容になります。

たとえば、

「主人公がおこられたところがイヤだった。自分もよくおこられるから。」

という一文は、大人から見れば「表現としては浅い」と思うかもしれませんが、実体験と結びついていて感情が伝わる立派な感想です。

誰かの気持ちに共感したこと、嫌だったこと、びっくりしたこと──それらを素直に言葉にすることが、何よりも「伝わる感想文」への第一歩です。

「なぜそう思ったか」を書くだけで、感想文は伝わる

もう一つ大切なのが「理由を添えること」です。

「思ったこと」だけを書くと、読んでいる人は「なぜそう思ったのかな?」と疑問に感じてしまいます。

逆に、「〜と思った。なぜなら〜だから。」と理由があるだけで説得力が増し、読み手の理解が深まります。

たとえば、

「主人公がすぐにあきらめなかったところがすごいと思った。わたしはすぐあきらめてしまうから。」

「動物が人間の言葉をしゃべるのがおもしろかった。もしうちの犬が話せたらどうなるか想像した。」

このように、自分の気持ち+理由(または自分との関係性)を書くことで、子どもの考えがグッと伝わりやすくなります。

読んだ人が「うん、わかる」と思えるかがポイント

伝わる文章かどうかは、読み手が「うん、わかる」「なるほど」と思えるかどうかで決まります。

そのためには、難しい言葉や立派な文章よりも、読み手に寄り添う“言葉の選び方”と“つながり”が大切です。

たとえば、

  • 登場人物の気持ちの変化に気づいて、それを追いかける
  • 物語の中で自分に似ているところを見つける
  • 最後に「自分はこう感じた」と一言添える

こういった工夫があるだけで、読み手は自然にその子の感情に共感しやすくなります。

「上手に書くこと」ではなく「読んだ人と気持ちを共有すること」

それが、感想文で一番大切な“伝わる”の本質です。

読書感想文の書き方をわかりやすく伝える5ステップ

「感想文を書いてみよう!」と声をかけても、子どもはすぐには筆が進まないものです。

でも、いくつかのステップを順にたどることで、「書けない…」が「伝わった!」に変わっていきます。

ここでは、親子で一緒に取り組める“わかりやすい感想文”の書き方5ステップをご紹介します。

①「心が動いた場面」を一緒に見つける

まずは、子どもがどこで心を動かされたのかを一緒に思い出すところからスタートです。

「最後まで読んだ感想は?」と聞くよりも、

  • 「読んでて一番ドキドキしたところはどこだった?」
  • 「なんかイヤだった場面ってあった?」
  • 「笑っちゃったところあった?」

など、感情にひもづいた聞き方をすると、子どもは「あの場面!」と答えやすくなります

感想文のテーマは、この「心が動いた場面」から始めるのが自然です。

それが、感情のこもった“伝わる感想文”の土台になります。

②「どう思った?なぜ?」を親子で話してみる

次に、その場面について「どう思ったのか」「なぜそう感じたのか」を言葉にしていきます。

このとき大切なのは、すぐに書かせようとせず、まずは口に出して話すこと。

たとえば、

  • 「それってどうしてそう思ったの?」
  • 「自分だったらどうする?」
  • 「それって前にも似たことあった?」

こうした「魔法の質問」を使うことで、子ども自身が自分の考えを見つけていくサポートができます。

感想文は、書く前の“会話”が8割と言っても過言ではありません。

親子で対話することで、子どもは安心して「自分の言葉」を探せるようになります。

③ 感想+理由+体験の「3点セット」で構成する

話しながら出てきた内容を、次は感想文の“骨組み”に落とし込んでいきます。

基本はこの3点セット。

① 感じたこと(例:主人公がすごいと思った)
② その理由(例:あきらめなかったから)
③ 自分とのつながりや体験(例:私はすぐあきらめてしまうので、まねしたい)

この形をもとにすれば、子どもの言葉で自然に「伝わる」感想が書けます。

また、この構成は一文一文のつながりを生み出すので、読み手にとっても非常にわかりやすくなります。

④ 書いたあとに読み返して“伝わるか”をチェック

下書きが書けたら、すぐ清書せずに読み返す時間を取りましょう。

このとき、「ここ、ちょっとわかりづらいかも?」と感じる部分が見えてきます。

親としてできるのは、

  • 「この文章、ママも読んでみていい?」
  • 「ここ、もう少し説明してくれるともっと伝わるかも!」

と読み手の視点でフィードバックすることです。

「上手かどうか」ではなく、「伝わっているかどうか」を一緒に考えることが、子どもにとって一番の学びになります。

⑤ 必要に応じて、構成を見直したり補足する

読み返して気づいたことがあれば、文章を直すことは恥ずかしいことではありません。

むしろ、「もっと伝わるように書き直してみよう!」という姿勢こそが素晴らしいのです。

このとき、

  • 文章の順番を少し入れ替えてみる
  • 説明が足りない部分を1文追加してみる

など、少しの調整で読みやすさはぐっと変わります。

親が添削するのではなく、「一緒により良くしていこう」というスタンスが、子どもの意欲を引き出します。

書けない・止まるときの「魔法の質問」例

どんなに気持ちがこもっていても、いざ書こうとすると手が止まってしまう。

そんなとき、子どもは「何を書いていいかわからない…」と不安になります。

でも、だからといって「ここはこう書いて」「これを入れて」と親が指示してしまうと、子どもの言葉ではなくなってしまいますよね。

そこで役に立つのが「魔法の質問」。

これは、子どもの中にある思いや気づきを自然に引き出す、問いかけの工夫です。

以下に、よく使える質問例を紹介します。

「どの場面が一番びっくりした?」

「感動したところ」「心に残ったところ」よりも、まずはインパクトの強い場面から話題にするのがおすすめです。

たとえば、

  • 「◯◯が急に出てきたのはびっくりした」
  • 「◯◯が怒ったところ、ドキッとした」

など、驚いた場面は気持ちの動きが大きい分、感想にもしやすいのが特徴です。

「登場人物の気持ちを1つだけ言葉にするなら?」

感情を表現するのが苦手な子には、「気持ちを一言で言うなら?」と問いかけてみましょう。

たとえば、

  • 「◯◯ちゃんって、そのときどんな気持ちだったと思う?」
  • 「“さみしい”“うれしい”“むかついた”の中だと、どれが一番近いかな?」

選択肢を示すことで、感情の言語化がグッとしやすくなります。

「もし◯◯ちゃんだったら、どうする?」

物語を自分ごとに引き寄せることで、自然と感想が生まれやすくなります。

たとえば、

  • 「もしあなただったら、同じことした?」
  • 「◯◯ちゃんがこの本の中に入ったら、どうすると思う?」

これは、子どもの想像力を刺激するうえに、「自分だったら…」という視点を育てる良いきっかけにもなります。

🔍 ポイント

質問は“正解を探す”ためではなく、“気持ちを見つける”ために!

これらの質問に対して、すぐに答えが出なくても大丈夫です。

目的は、子ども自身の中にある「感じたことのタネ」を一緒に探すこと。

保護者としては、

「その考え、おもしろいね」

「へぇ、そう感じたんだ!」

とリアクションを返すことで、子どもは「自分の気持ちって言っていいんだ」と安心できます。

保護者のサポートで気をつけたい3つのこと

読書感想文に取り組む子どもを見ていると、「こう書いた方がいいのに」「もっとわかりやすくできるのに」と、つい口を出したくなることもありますよね。

でも、感想文は“自分の気持ちをことばにする”力を育てる場

だからこそ、保護者がどのように関わるかで、子どもの「伝える力」は大きく伸びていきます。

ここでは、感想文を書くときに保護者がサポートする際に意識したい3つのポイントをご紹介します。

代筆・口出しより「聞き役」に回る

子どもが悩んでいると、つい「じゃあこう書いたら?」と助け舟を出したくなります。

しかし、それが続くと子どもは「考えること」をやめてしまい、親に頼るようになってしまいます。

まずは、子どもの話をしっかり聞く姿勢を大切にしましょう。

「どう思ったの?」「なんでそう感じたのかな?」

と答えを引き出すような質問をしながら、話を遮らずに最後まで聞く。

すると、子どもは自分の考えに自信が持てるようになり、自然と書く力も育ちます。

「それ、いいね!」と本人の表現を肯定する

子どもが「こう思った」「こう書いてみた」と言ったときは、まず肯定的なリアクションを返すことが大切です。

たとえば、

  • 「その言い方、おもしろいね!」
  • 「なるほど、そういうふうに感じたんだね」
  • 「それ、すごく伝わると思うよ」

などの言葉をかけることで、子どもは「自分の言葉で伝えていいんだ」と思えるようになります。

感想文で大事なのは、「上手に書くこと」よりも「自分の気持ちを素直に伝えること」。

その価値を、大人がちゃんと認めてあげることが、最大のサポートになります。

「完成」が目的じゃなく「気持ちを言葉にする経験」を大事に

ついつい「早く終わらせなきゃ」と焦ってしまいがちですが、感想文の本当の価値は、完成することよりも“自分の気持ちに向き合った経験”にあります。

書くことに慣れていない子にとっては、1文ひねり出すだけでも大きな挑戦。

それを「こんなもんでいいや」と片づけるのではなく、

「今日ここまで書けたの、がんばったね」

「じっくり考えてるのが伝わってきたよ」

と声をかけるだけでも、子どもは「書くって楽しい」「また書いてみたい」と思えるようになります。

ゴールは“きれいな文章”ではなく、“伝えようとする気持ち”の育成

そう考えると、読書感想文は、親子の心のやり取りを深める良いきっかけにもなるのです。

まとめ|伝わる感想文は「気持ち」が出発点

読書感想文で大切なのは、「上手に書くこと」でも「正しい答えを出すこと」でもありません。

子ども自身が本を読んで感じたことを自分の言葉で伝えようとすること。

それが何より価値ある経験です。

うまく書けなくても大丈夫。

伝えたい「気持ち」があるなら、それはすでに感想文の第一歩を踏み出せています。

親としてできることは「正しく書かせる」ことではなく、子どもの気持ちに耳を傾け、その声を言葉にするお手伝いをすること。

たとえば、

「どう思ったの?」と聞いてみる

「それ、面白いね」と認めてあげる

「ゆっくりでいいよ」と安心させてあげる

そんな一言一言が、子どもにとって「自分の言葉で伝えていいんだ」と思えるきっかけになります。

感想文は、たった数百字の文章かもしれません。

でもその中には、子どもが自分の感じたことを見つけ、言葉にし、誰かに伝えるという小さな自己表現の芽が詰まっています。

読書感想文を通して「ちゃんと伝えられた!」という小さな達成感をお子さんと一緒に味わってみてください。

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